■貧弱 貧弱ゥ…『ジョジョの奇妙な冒険』ダイアー
最後は、荒木飛呂彦さんの『ジョジョの奇妙な冒険』第1部ファントムブラッドから、こちらも伝説的な“かませ犬”キャラであるダイアーを紹介する。
コミックス第4巻で登場したダイアーは、ディオ討伐の助太刀に駆けつけてきてくれた波紋使いの一人。ウインドナイツ・ロット(風の騎士たちの町)へ向かうジョナサン・ジョースターの前に現れ、いきなり「稲妻空烈刃(サンダースプリットアタック)」を仕掛けてきた。
これはジョナサンの実力を測るためのものだったとはいえ、この一行は直前にもゾンビ化した村人に襲われており、なんともお騒がせな登場だった。ロバート・E・O・スピードワゴンが“新手の屍生人(ゾンビ)”と勘違いするのもしょうがないだろう。
その後、ディオのいる館になんとか到着した一行。いよいよ決着をつけようとディオとジョナサンが盛り上がっているときに「ジョジョお前は下がっていろッ! 奴への恨みなら このダイアーが 先に はらす権利がある!」と、なぜか首を突っ込んでくるダイアー。
20年来の親友であるツェペリが殺されて恨みがあるのはわかるが、そんな権利があるとするならば、少年のときから兄弟同然で同じ館で暮らし、初恋の相手であるエリナとの仲を引き裂かれ、さらに父を殺され、財産のほとんどを焼かたジョナサンのほうが、どう考えても優先権があるような気がするが……。
そして戦いを挑んだダイアーは、開脚でディオの両手を広げることに成功。「かかったなアホが!」と叫び「稲妻十字空裂刃(サンダークロススプリットアタック)」を仕掛けるも、ディオの“気化冷凍法”で首から下を凍らされた挙げ句、体を粉々に砕かれあっという間に敗れてしまう。その際、ディオにも「貧弱 貧弱ゥ…」と言われてしまう始末……。
一応、死に際に波紋入りのバラの棘をディオの右目に刺し、ディオ攻略のヒントを残す形にはなったものの、ツェペリがジョナサンに想いと力を託してのカッコいい散り方だったのに対し、同程度の実力者と思われたダイアーは実に残念な最期だった。
今回は、よく喋りすぐ散ったジャンプバトル漫画の悲しき“かませ犬”たちを紹介してきた。いずれのキャラも、実はかなりの実力者であったことは間違いなく、タイミングや展開によってはもっと活躍できたかもしれない。しかし、実際のストーリーでは、よく吠えすぐに敗れ、強者を引き立たせる悲しい“かませ犬”となってしまっていた。