『幽☆遊☆白書』柘榴に『呪術廻戦』漏瑚も…よく喋りすぐ散った『週刊少年ジャンプ』バトル漫画の悲しき“かませ犬キャラ”の画像
アニメ『呪術廻戦』(C)芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

 昔から「弱い犬ほどよく吠える」という。『鬼滅の刃』の那田蜘蛛山編では、鬼殺隊の剣士が十二鬼月である累に対して「お 丁度いいくらいの鬼がいるじゃねぇか こんなガキの鬼なら俺でも殺れるぜ」と見事に吠え、一瞬で切り刻まれた。彼は名もなき脇役でありながらその見事な“かませ犬”っぷりから“サイコロステーキ先輩”なんて揶揄されることも……。

 このようにバトル漫画では、強者の力を引き立たせるために“かませ犬”が必要だったりもする。そこで今回は、よく喋りすぐ散ったジャンプバトル漫画の悲しき“かませ犬”たちを紹介していこう。

■1ページ使った伝説的登場『幽☆遊☆白書』柘榴

 1990年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まった、冨樫義博さんの『幽☆遊☆白書』。Netflixの実写ドラマ化で、最近でもまた注目が集まっている。まずは本作から、漫画史に残る“かませ犬”である柘榴を紹介する。

 柘榴は最終19巻の「魔界統一トーナメント編」で登場した左半身が鎧、背中に大きな斧を背負った妖怪だ。トーナメント開始直前、幽助の前に現れ、自分を2回戦で当たる“柘榴”であること、そして「そのうち忘れられない名前になるぜ」と告げる。

 そして、幽助や黄泉も殺し、最終的に魔界は真の闇の世界になると、宣言したのだった。最終巻でのタイミングで1ページ丸々使った派手な登場、強キャラ感のあるセリフの数々……読者の多くが「こいつは只物ではない」と思ったことだろう。

 しかし1回戦の結果が発表されると、この柘榴は枢という妖怪にすでに敗れていたことが判明、その後、なんといっさい登場することなく姿を消した。ちなみに、その枢も戦闘描写もないまま幽助に敗れている。

 このように、残念な結果に終わった柘榴。漫画では見事な“かませ犬”としてファンの記憶に残っているが、アニメではその登場シーンすら丸々カットされており、漫画以上にひどい扱いを受けていた……。

 柘榴の名誉のために言うと、彼も魔界統一トーナメントの予選を突破したことから、妖怪ランクS級、もしくは少なくともA級上位であることは間違いない。戸愚呂弟はB級であることからも、実はかなりの実力者なのである。

■最強を相手にしてしまった特級呪霊『呪術廻戦』漏瑚

 次は、芥見下々さん『呪術廻戦』に登場した漏瑚を紹介する。

 漏瑚は、人が大地を畏怖する感情から生まれた特級呪霊。単眼と火山のような頭部が特徴で、アニメ版では千葉繁さんが声を務めている。

 漏瑚は人間を駆逐し呪霊が君臨する世界を創造することを目的に、真人、花御、陀艮の特級呪霊たちと行動をともにしていた。一応、このメンツのリーダーは真人ということになっているが、真人の自由奔放な性格や漏瑚の言動からすると、実質的に仕切っていたのは漏瑚だったように感じる。

 さらに、漏瑚の力は“ニセ夏油”によると“宿儺の指8、9本分”という話で、この直前に少年院で大暴れした宿儺が指3本分だったことから、その見立てだけでもかなりの実力者であることが期待された。

 コミックス2巻、第14話で早々に五条悟と対決することになった漏瑚。呪術高専に続く山道で強襲、吹き出すマグマで焼き「存外 大したことなかったな」と勝利を確信するも五条は無傷。続けてさまざまな術で攻撃するも、“無限”をコントロールする五条にはまったく効果がなく、逆にボコボコにされてしまう。

 さらには「だって君 弱いもん」という五条のトドメの一言に特級呪霊のプライドを傷つけられ、「舐めるなよ小童が!!! そのニヤケ面ごと飲み込んでくれるわ!!!」と炎を吹き出しブチ切れた漏瑚。ついに、領域展開“蓋棺鉄囲山”を発動する。

 しかし、それも五条の領域展開“無量空処”に押し返され、最後は頭を引きちぎられ敗れる。ちなみに漏瑚は復活し、渋谷事変でも大いに暴れまわっていたが、今度は宿儺と戦う展開になり、最終的には完全に消滅している。

 漏瑚は本来“かませ犬”と呼ぶには気の毒なくらいの実力者であったのかもしれないが、作中最強ツートップの五条悟と宿儺と戦うことになり、二人の強さを強調する形になってしまった。

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