■愛のためなら着物でも海に飛び込んじゃう『白鳥麗子でございます!』
鈴木由美子さんによる『白鳥麗子でございます!』は、1987年〜92年に『mimi』(講談社)で連載された人気作品だ。
主人公・白鳥麗子はプライドの高いお嬢様だが、幼い頃から同い年の秋本哲也が大好きだった。紆余曲折を経て結ばれた2人だが、物語終盤ではなかなかプロポーズをしてくれない哲也に麗子はもどかしさを感じ、イライラしていた。
そんな結婚への夢が暴走した麗子に対し、哲也は愛想を尽かし喧嘩してしまう。勢いで実家に帰った麗子は、哲也へのあてつけから見合いをする。しかしどれだけ相手が素敵な人でも、やはり麗子は哲也のことが忘れられない。しかし、それでも迎えに来てくれない哲也に業を煮やした麗子はお見合いの着物姿のまま海に飛び込み、哲也の元へ帰ろうとする。
溺れかけたそのとき「なにおぼれてんだよ」の声が。そこには、祖父の漁船で麗子を迎えに来た哲也の姿があった。
この回では、電車やヘリコプターでも帰れないトラブルが相次く。「線路がダメなら ヘリがダメなら 泳いででもあいにいくわ」という麗子のセリフがなんとも健気だ。その後海から無事に哲也に拾われた麗子、物語はもちろんハッピーエンドで締めくくられた。
今回紹介した海に飛び込むシーンは、すべて洋服を着たまま勢いで飛び込んでいるのが印象的だ。実際に服を着たまま海に飛び込むなんて危険過ぎるが、漫画の世界だからこそ安心して見ていられる。
生死をさまようような体験をしたからこそ、今回紹介した登場人物たちの後日談はさらにドラマチックな展開になっている。