『ガラスの仮面』マヤに『白鳥麗子でございます!』麗子も…昔の少女漫画に多かった! “ピンチのときに海に飛び込むヒロイン”の画像
Kissコミックス『白鳥麗子でございます!』第6巻(講談社)

 物語を盛り上げるのに、荒れ狂う海や断崖絶壁といったシーンは欠かせない。それはかつてよく放送されていたサスペンスドラマだけでなく、少女漫画でも同じだ。

 昔の少女漫画の場合、よく主役のヒロインやプリンスが海に飛び込んでいた。なかには真冬の海や高い場所から飛び込む場面もあり、リアルではできない危険な行為をしてストーリーを盛り上げていた。今回はそんな昔の少女漫画で、主人公がピンチのときに海に飛び込むシーンを紹介したい。

■チケットのためなら真冬の海でもへっちゃら!? 『ガラスの仮面』

 真冬の海に飛び込むシーンと言えば、本作を思い浮かべる人もいるだろう。美内すずえさんによる演劇を舞台にした名作『ガラスの仮面』は、1975年より白泉社の『花とゆめ』にて連載がスタートした歴史ある作品だ。

 主人公の北島マヤは演劇に憧れ、現実を忘れるほど夢中になってしまう少女だ。マヤは母と2人で中華料理店の住み込みで働いており、生活は貧しい。そんなある日、店主の娘・杉子から有名歌劇の『椿姫』のチケットがあると言われ、大みそかの日に出前を120件こなしたらチケットを譲ってもいいと言われる。

 通常では不可能な条件だが、マヤは手を腫らしながらも多くの出前をこなし、ついに最後の120件目の出前をクリアする。しかしチケットを渡したくなかった杉子はわざとチケットを海に落とす。するとマヤは服のまま真冬の海に飛び込み、死に物狂いでチケットを手に入れるのだ。

 その後救出されたマヤは、寒さで体を震わせながらもチケットを両手でしっかりと持ち、「いける これで『椿姫』をみに…いけるわ」と喜ぶのであった。

 真冬の海に飛び込むなんて自殺行為に等しいが、このシーンをきっかけにマヤの演劇にかける波乱万丈のストーリーが始まるのである。

■やっぱり別れたくない! 大型船舶から海へ飛び込む『ハイティーン・ブギ』

『ハイティーン・ブギ』は、1977年より『プチコミック』(小学館)で連載された。原作:後藤ゆきおさん、作画:牧野和子さんにより描かれた本作は、暴走族のリーダー・藤丸翔と、けなげなヒロイン・宮下桃子との青春群青劇が描かれている。

 翔はヤンチャな暴走族のリーダーだが、実は彼の父親は藤丸コンツェルンの会長で資産家であった。父は息子・翔に跡を継がせるため桃子との結婚に反対し、2人を別れさせるために策略を練り、アメリカに留学させようとする。

 アメリカに向かう大型船舶に乗った翔だが、見送りに来た桃子の姿を発見。するとやはり“別れたくない!”という思いが先立ち、翔はデッキから海に飛び込んでしまう。その後見事なクロールで桟橋までたどり着いた翔は桃子と再会し、2人は抱き合い“二度と別れない”と誓うのであった。

 通常、大型船舶は水面からデッキまでの高さが非常に高いため、飛び込んだりしたら命を落としかねない。しかしそんなことも顧みず海に飛びこみ、彼女のために一心不乱に泳ぐ姿はまさにプリンスだ。本作に限ったことではないが、昔の少女漫画ではキャラたちが“絶対にマネをしてはいけない危険な行動”を取るシーンも多かったように思う。

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