
超名作RPGの『ドラゴンクエスト3』は、広大なストーリーが魅力的だ。本作では数多くアイテムが登場するのだが、そのなかにはいろいろと考えさせられる“哀しきアイテム”もあった。
中学生時代にファミコン版でプレイした当時はあまり理解していなかったのだが、大人になってリメイク版で遊んでみると、その意味を考えてしまいなんだかしんみりしてしまったものだ。そこで、『ドラクエ3』に登場する“哀しきアイテム”を振り返ってみよう。
■使った者が麻痺する…ネーミングすら哀しく思える「ゆめみるルビー」
まずはノアニール西の洞窟にある「ゆめみるルビー」だ。このアイテムには、ノアニールの村とエルフの隠れ里が関係している。エルフの女王の娘・アンが村の人間の男性に恋をするのだが、それは許されない禁断の恋愛だった。
2人は駆け落ちするのだが、その際、アンは里の宝でもある「ゆめみるルビー」を持ち出していた。アンが人間にそそのかされたと思ったエルフの女王は怒り、ノアニールの村に眠りの呪いをかけてしまう。
主人公たちも村や里ではとくに何もできないので、このノアニール西の洞窟に向かうことに。そして、地下4階の水に囲まれた場所にある宝箱のなかに隠されているこの「ゆめみるルビー」を見つけるのだ。
そこには一緒にアンの手紙が入っており、2人が心中したであろういきさつが綴られている。このアイテムは使用すると麻痺状態になってしまう。移動中や戦闘中に限らず、麻痺してしまうので使う意味がない。だが、これはもしかして水中に身を投げる際にアンが使用したのでは?と考えることもできる……。
エルフの女王は「ゆめみるルビー」を、この男性に奪われたと誤解していた。まあ、この手紙を届けることで誤解は解けるのだが……よく考えるとアンはこのアイテム効果を知っていて持ち出した気もする。そして、母親は人間との恋など決して許さないだろうと分かっていたのだろう。
何を夢見たのだろうか……深く考えると何とも哀しいストーリーといえるな。
■幸せな恋人たちに訪れた哀しき運命…「あいのおもいで」
次は、クリアするには必須のアイテム「あいのおもいで」だ。このアイテムが必要となるのはオリビアの岬。“ほこらの牢獄”に行くために通過しようとするのだが、オリビアの呪いがかけられているので船が押し戻されてしまう。
オリビアの恋人・エリックは無実の罪で奴隷船に乗せられた挙げ句、しかもその船は嵐で沈んでしまう。そして、そのことを知ったオリビアは悲しみのあまりこの岬から身を投げてしまうのだ。この呪いを解くためには幽霊船となった奴隷船を見つけて、エリックの遺品でもある「あいのおもいで」を手に入れる必要がある。
エリックはオリビアだけは幸せに生きてほしいと願うのだが、時すでに遅し……オリビアも自ら命を絶っていた。幸せな2人に突如訪れた不幸すぎる出来事なのだが、そもそもエリックが奴隷船に乗せられた理由が本作では明確になっていない。
小説版では2人の交際に反対したオリビアの父親が無実の罪を背負わせたらしいのだが……アンのときといい、困った親たちだ。