■『劇場版 どうぶつの森』どうぶつ村のミュージシャン・とたけけ
任天堂の大人気ゲーム『どうぶつの森』を映画化した、2006年公開の『劇場版 どうぶつの森』では、小栗さんはあの“とたけけ”を演じている。
本作は“どうぶつ村”に引っ越してきた人間の女の子“あい”と、住民である動物たちのふれあいと成長を描いた物語。あいの親友でゾウの女の子・サリーやネコの女の子・ブーケのほかにも、本シリーズではお馴染みのたぬきち、まめきち、つぶきち、コトブキ村長やリセットさんなどが勢ぞろいしている。
そしてそのなかに、ストリートミュージシャン・とたけけも登場する。オリジナルであるゲーム内のとたけけもギターを持った白犬のクールなキャラであるが、本作でのとたけけは小栗さんのイケメンボイスで一層カッコよさが増していた。
夏祭りに登場し「今夜は僕の歌を聴きに来てくれてありがとう なにかリクエストはあるかい?」と、会場のみんなに語り掛けるとたけけ。リクエストに応え「けけボッサ」を歌い始めるのだが、その歌声は小栗さんのものではなく、なんとゲーム音声の“いつものとたけけボイス”で、そのギャップは面白すぎた。映画館でも笑いを生んだ、本作の名物シーンのひとつになっている。
■『キャプテンハーロック SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』孤高な海賊・ハーロック
小栗さんは、2013年に公開されたCGアニメ映画『キャプテンハーロック SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK』では、なんとハーロックとして主演を果たしている。
松本零士さんのSF作品『宇宙海賊キャプテンハーロック』のリブート作品で、総製作費3000万ドルをかけた国内フルCG映画の大作である。とくに、アルカディア号とガイア・フリートが繰り広げる宇宙艦隊戦や、双方艦内にもつれ込んでの白兵戦は圧巻の映像だ。
ご存じのようにハーロックは“カッコいい”を体現するような人物で、松本零士作品のなかでもメーテルと並ぶ非常に人気の高いキャラだ。公開前の特報時点では小栗さんがハーロックを演じることは明かされておらず「すべては自由のために!」という迫力のある演技に、“この声は誰!?”と、注目が集まっていた。
本作では、100年前に犯した自分の罪に苦しむハーロックの悲痛な姿が見られる。物語前半では孤独のなかであまり多くを語ろうとしないハーロックだったが、真実に迫る終盤では、ダークマターにより滅んでしまったと思っていた地球が生まれ直そうとしていることを知り「繰り返される一瞬が永遠に至る これが自由か」と涙するのだが、その姿がなんとも切ない。
ここでもさすが小栗さんである。ハーロックの複雑な心境を見事に声で表現していた。
今回は、名俳優・小栗旬さんが“声”で活躍した意外な作品の数々を紹介してきた。俳優として数々のドラマや映画に出演している小栗さんだが、声優としての評価も高く、数多くのアニメ作品へ出演していた。
カリスマ性のあるカッコいいキャラから、ちょっと笑いのある楽しいキャラまで幅広くこなせるさすがの演技力、さらには、ゲスト出演として作品を盛り上げたり、一方で、大作の主演を堂々とこなしたりとその対応力はさすがとしか言いようがない。