■落ちる写真立て…あの人の身に何かが起きた! 『はいからさんが通る』

 1975年より『週刊少女フレンド』(講談社)で連載された、大和和紀氏の『はいからさんが通る』は、大正時代を舞台にした人気漫画だ。

 主人公の花村紅緒と、そのフィアンセの伊集院忍との波乱に満ちたラブストーリーが描かれている。本作は恋愛コメディの要素も強いが、忍がシベリア部隊として出兵したあとはシリアスな展開が続いていく。

 上官の命令により、シベリア出兵の最前線で戦うことになった忍の部隊。コサックの大部隊に囲まれなんとか逃げるものの、忍は怪我をした部下を救うため再び敵陣へ戻る。敵の銃兵に攻撃され、爆撃に遭う忍。その瞬間、紅緒の家で飾られていた忍の写真立てが落ち、ヒビが入る。それを目にした紅緒は「まさか少尉の身に何か…」と案じるのであった。

 大切な人の写真立てが落ちて割れるといったシーンは、昔のドラマでもよくあった。いまやその人の身に何か悪いことが起きたことを表す、定番の演出と言えるだろう。

 ドラマや映画ではその人が亡くなってしまうことが多いが、『はいからさんが通る』では、それを上回るような波乱万丈の展開が待っている。

 

 今回紹介した“虫の知らせ”は、いずれも漫画の世界だけでなく、現実世界でもあることなのだろう。その多くは自分を助けてくれたり、大切な人のピンチを知らせてくれたりするものだ。いつ訪れるか分からない“虫の知らせ”に日々耳を研ぎ澄ませながら、毎日を大切に生きたいものだ。

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