『エースをねらえ!』や『ときめきトゥナイト』にも…昔の少女漫画によくあった、大切な人の「虫の知らせ」を感じたシーンの画像
『エースをねらえ!』Blu-ray BOX(ビクターエンタテインメント)

 突然だが、みなさんは“虫の知らせ”を感じたことはないだろうか? 筆者の友人は電車で帰宅中に「ほなまたね」という祖母の声を聞き、帰宅後に祖母が亡くなっていた……という経験をしたそうだ。

 昔の少女漫画にも、そのような虫の知らせを感じるようなシーンがある。大切な人が亡くなる瞬間や、大事な人がピンチを迎えた瞬間に、何かを感じ取るケースが多いのだ。今回は昭和に大人気だった少女漫画から、“虫の知らせ”を感じるシーンを紹介する。

■大好きなコーチの声が耳元で…『エースをねらえ!』 

 1973年から『週刊マーガレット』(現:『マーガレット』(集英社))で連載がはじまった『エースをねらえ!』は、山本鈴美香氏によるテニス漫画だ。

 本作は平凡な女子高生・岡ひろみが、名コーチの宗方仁に才能を見出され、激しい特訓の末、一流のテニスプレイヤーに成長していく物語だ。

 しかし『エースをねらえ!』では、その宗方が病気で死ぬという衝撃展開が待っている……。

 ひろみと宗方の間に完璧な師弟関係が結ばれた矢先、持病が悪化し入院してしまう宗方。宗方はひろみに自分の病状を伏せ、アメリカのトーナメントに先に行くよう伝えた。しかしその病状は悪く、宗方は自分の死後もひろみがやっていけるよう、ひろみのボーイフレンドの藤堂貴之にすべてを打ち明ける。

 その後、宗方は異母妹の蘭子が見舞いに来ている際に命を落としてしまう。そのときひろみは飛行機のタラップを上っているところなのだが、耳元で「岡!」と呼ぶ声をはっきり聞く。「いま…コーチの声が…」と、後ろにいた藤堂に伝えるひろみ。すべてを知っていた藤堂は宗方の死を悟り、絶望するのであった。

 大切な人が亡くなる瞬間、その人の声を聞いたという虫の知らせは現実でもよく見聞きする。病気ですでにテニスができなかった宗方は自身のテニス人生すべてをひろみに託し、激励の「岡!」の掛け声とともに去って行ったのだろう……。

■大切な女性のピンチに振り返る!『ときめきトゥナイト』 

 1982年から『りぼん』(集英社)で連載された池野恋氏による『ときめきトゥナイト』は、魔界人少女の江藤蘭世とクールな同級生・真壁俊によるラブコメディ作品だ。

 当初は俊に想いを寄せる蘭世のドタバタ劇が中心だったが、魔界の王子を人間界で探す展開になってからは、2人の間にもシリアスな恋愛劇が展開された。

 第1部の後半からは、二千年前の魔界にも災いを起こした冥王ゾーン(ノーゼ)が復活してしまう。冥王と戦うため魔界に行く俊に、私も一緒に行くと駄々をこねる蘭世。俊はそこで蘭世にキスをし、家にとどまらせる。

 放心状態の蘭世のもとにドアノックの音が……。扉を開けた瞬間、蘭世は何者かに口を塞がれてしまう。その瞬間、魔界に向かっていた俊は何かを感じ、後ろを振り向く。しかし何も見えるはずはなく、そのまま魔界へと向かうのであった。

 一連の展開は『ときめきトゥナイト』のなかでも、蘭世と俊が正式にキスをしたシーンであり、多くの読者が胸キュンした。その後、蘭世がさらわれるというまさかの展開となるのだが、固い愛情で結ばれている2人だからこそ、俊は思わず振り返るほどの強い虫の知らせを感じたのだろう。

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