■髪の毛まで編み込んでしまい… 『白鳥麗子でございます!』手編みのセーター

『白鳥麗子でございます!』は、昭和から平成にかけて爆発的な人気を誇った鈴木由美子氏による作品だ。

 主人公の白鳥麗子は高飛車なお嬢様だが、ボーイフレンドの秋本哲也が大好きなヒロイン。本作では麗子の友人たちが、彼氏のために手編みのセーターを編んでいるシーンが登場する。麗子は「あたくしが彼のために寒さこらえてセーター編むなんてヘソが茶ぁわかしちゃうわ」なんて言いつつ、さっそく自分も哲也のために手編みのセーターを編みはじめるのだ。

 しかし不器用な麗子は編んでいるうちに自分がダルマになったり、人や家具を毛糸に巻き込んだりとなかなかうまくいかず、ついには自分の髪の毛を編みこんでしまう始末……。悩んだ挙げ句、彼女は髪の毛の一部を切り落とし、哲也のためにセーターを完成させようとするキュンとする話だ。

 コミカルに描かれているこのストーリーでも、麗子が一生懸命哲也のことを思って一針ずつセーターを編んでいるのが印象的だった。麗子の友人・京子は手編みのセーターについて「ま いわば彼女の特権てやつよね 手編みってやつは」と口にしており、この時代においていかに手作りのプレゼントが大事なのかを表している。

 

 今回紹介した作品が掲載されていた時代は、まだネットショッピングもなかった。それゆえ、恋人や家族、友達へのプレゼントにマフラーやクッションなど日常生活で使うものを手作りする人は多かったと思う。

 現代では、スマホからポチっと注文すれば何でも手に入る時代。しかし、そのぶん物に対する思い入れは少なくなってしまったようにも感じる。

 機会があれば、ぜひ思いを込めて、大切な人に手作りのプレゼントを用意してみてはどうだろう。

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