『機動戦士ガンダム』に『重戦機エルガイム』、『銀河漂流バイファム』に『機甲戦記ドラグナー』……ファミコンやスーパーファミコンをリアルタイムで体験した世代は、ロボットアニメにも大きな影響を受けた世代ともいえます。となれば、そんなキッズたちを狙ったロボットゲームが出ないわけはありません。ファミコンでもスーパーファミコンでも数多くのロボットゲームが発売されましたが、そのなかでも最高の一本を挙げろといえば、筆者は『重装騎兵ヴァルケン』(メサイア)と断言したいです。
■リアルロボットアニメの雰囲気がそのままゲームに!
今から31年前となる1992年12月18日にスーパーファミコンで発売された『重装騎兵ヴァルケン』は、メサイアからメガドライブ用ソフトとして発売された『重装騎兵レイノス』と世界観を同じくする横スクロールアクション。「重装騎兵(アサルトスーツ)」と呼ばれる全長は6mほどの人型ロボット「ヴァルケン」を操作し、全7ステージで描かれる戦争を駆け抜けていくゲームです。
『レイノス』はかなり難度の高いゲームでしたが、『ヴァルケン』はだいぶ抑えめな難度で遊びやすくなりました。しかし、スーファミのコントロールのボタンのほぼすべてを使いこなす必要があるため、操作性は良いもののちょっと慣れがいるゲームでもありました。当時のゲームの中では高めの操作難度だったと思いますが、使いこなせるようになるとまるでエースパイロットになった気分を味わえたものです。
■リアルロボットなアクションとそれを表現するグラフィックスは極上!
本作を最高のロボットアクションとしているのは、リアルロボットの挙動を実現したアクションとグラフィックスにあります。例えばヴァルケンの挙動ですが、ジャンプして着地する際には着地のショックを和らげるように腰を落とすという“重さ”を感じさせるモーションが入りますし、バルカンやアームパンチなどの武装を使うと後方に薬莢が排出。また『装甲騎兵ボトムズ』のスコープドッグのように土煙を挙げながらローラーダッシュで高速移動できるなど、ロボット好きにはたまらないアクションや演出が盛りだくさんなのです。
ヴァルケンの武装は銃タイプのバルカンとアームパンチで、ステージを進めてアイテムを取る追尾型ミサイルとレーザー、また隠し武器としてナパーム(短射程の炎を撃ち放つチート武器)があります。
このなかでバルカンは、各ステージの壁面や床に打ち込むと抉れ、さらに跳弾するといった細かな描写が行われています。そのほかにも敵国首都では攻撃してくる人や逃げる人、ヴァルケンの攻撃でやられる人など、細かいところまでこだわり抜いたグラフィックスで描かれており、その素晴らしさと残酷さが入り混じった描写はロボットアニメファンにはたまらない演出といっていいでしょう。