ニンテンドーDSは「脳トレブーム」の火付け役? 親と競うように遊んだ任天堂の「脳を鍛える系」ソフトの思い出の画像
画像は『ニンテンドーDSi LL』(任天堂)パッケージより

 タッチペンを利用した直感的な操作が楽しかった『ニンテンドーDS』だが、これを利用した“脳トレ”というジャンルが、一時期ブームとなった。当時の子どもたちが親と競うように遊んだ、“脳”を鍛える思い出深い作品の数々について見ていこう。

■“脳トレ”の概念を広めた記念すべき一作! 『脳を鍛える大人のDSトレーニング』

 脳トレを楽しめる作品は数多く登場しているが、その“始祖”とも呼べる一作といえば、任天堂から2005年に発売されたニンテンドーDSソフト『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』だろう。

 なんとも長い正式名称を持つ本作だが、この一作の大ヒットがゲームに“脳トレ”というワードを持ち込んだといっても過言ではない。およそゲームらしくない、まるでドリルか参考書のような見た目のパッケージながら、意外やそのゲーム性にハマり、親世代と一緒に遊んだという人も多いのではないだろうか。

 本作ではタッチペンを活用してさまざまな問題に解答し、脳年齢を測ることはもちろんのこと、脳を活性化させてトレーニングさせることも可能だ。

 大量の計算式を次々と解いていったり、表示された時計の時間差を計算したりと、問題自体の難易度は低めだが、回答のための瞬発力や思考の持続力が試される。問題のなかには実際に声で解答する必要があったりと、バリエーション豊かに脳を刺激し、活性化させることができるのだ。

 タイトルにある通り、作中に登場する問題は川島隆太教授が監修したものばかりで、ゲーム中にもポリゴン体で再現された川島教授が登場し、プレイヤーをアシストしていく。

「計算20」、「計算100」といった計算問題では数学的な脳トレができたのはもちろん、時間内に素早くペンを操作する瞬発力も合わせて鍛えられた。また、「音声計算」のように実際に口で解答する問題もあったのだが、DSに聞き取りやすいように明瞭に発音する必要もあり、考えることだけでなく手先や発音といった別箇所の動作も鍛え上げられていった。

「時間計測」のように時計を見て解答するなど、日常生活の道具を絡めた問題が多かったのも面白い点だろう。見る、喋る、考える……と、生活に必要な五感全てを使う問題ばかりなため、日々を過ごすなかでその上達を実感する場面も多く、家族同士で速度や精度を競い合ったプレイヤーも多いのではないだろうか。

 DSを横に置き、上下でそれぞれ画面を見るのが一般的なスタイルだったが、本作では本体を縦持ちすることによって“手帳”のように、同時に左右の画面を見ることができるのも特徴的だ。シンプルなゲーム性もさることながら、ニンテンドーDSというハードの特性を見事に活かされたタイトルで、メインとなる子ども層だけでなく、親世代にも親しまれるヒット作品となった。

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