1985年に発売されたファミコンソフト『キン肉マン マッスルタッグマッチ』には、実は“ゴールドカートリッジ版”が存在している。その数なんと“8本”……。近年、その本数の少なさから100万円近くの凄まじいプレミア価格がついたことでも話題となっていた。
今回は、ファミコン全盛期に思いがけない“コラボ”によって稀少価値を増した、知られざるファミコン作品たちについて見ていこう。
■“かた焼きそば”をゲットでパワーアップ!『グラディウス アルキメンデス編』
ファミコンには数々の名作“シューティング”が登場しているが、その代表格ともいえるのが1986年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)から発売された『グラディウス』である。
美麗なグラフィックに壮大なBGMと、シューティングゲームとしての完成度の高さから、100万本を超える凄まじい売り上げを叩き出す名作となった。
そんな本作だが、1985年に大塚食品から発売されたカップ麺「アルキメンデス」とコラボした特殊パッケージが存在する。アルキメンデスは“かた焼きそば”を手軽に楽しむことができるレトルト食品で、SFの世界観を持つ『グラディウス』とのコラボはなんとも意外性溢れる組み合わせといえるだろう。
コラボ版のタイトルは『グラディウス アルキメンデス編』となっており、パッケージの帯にもしっかりとその旨が記載されている。
ゲーム内容自体は本来の『グラディウス』と変わらないのだが、最大の変更点は作中に登場する“パワーアップカプセル”の見た目。コラボ版ではこのカプセルが「アルキメンデス」風のドット絵に差し替えられており、“かた焼きそば”を手に入れてパワーアップする自機の姿はどこかシュールだ。
また、エンディングで流れるメッセージにも変化があったりと、コラボとしての変更点はかなり少なめと言える。
しかし、このコラボ品は「アルキメンデス」のキャンペーン中、抽選でしか取得することができず、わずか4000名にしか配られていない非常にレアな品となっている。シューティングとカップ麺のタイアップが、後の世で高額商品を生み出すことになるとは、当時のスタッフは思いもよらなかったのではないだろうか。
■国民的人気を誇る2作品の強烈タッグ!『オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ』
ファミコンにはさまざまなジャンルのゲーム作品があるが、なかでもやはり歴史に残る名作といえば、任天堂が世に放ったアクションゲーム『スーパーマリオブラザーズ』だろう。
いまや任天堂の“顔”とも呼べる圧倒的知名度を誇る『マリオ』だが、1986年に日本を代表するある有名なラジオ番組『オールナイトニッポン』と、異色のコラボを果たしている。
1987年、番組放送開始から20周年を迎えるのに先駆け、『オールナイトニッポン スーパーマリオブラザーズ』なる一作が限定生産された。
もともと番組内でもファミコン関連のコーナーが盛り上がっていたことを受け、国民的人気を誇るシリーズと深夜番組がタッグを組むこととなったのである。
基本的には『スーパーマリオブラザーズ』同様なのだが、1人プレイ専用だったり、マリオとルイージから操作キャラを選択できたりと、システム面は『スーパーマリオブラザーズ2』に準拠した点が多い。
また、“深夜番組”を意識して夜の背景に差し替えられているほか、ゴールの旗に「フジサンケイグループ」の目玉マークが表示され、無敵アイテムのスーパースターは『三宅裕司のヤングパラダイス』なる番組で話題となった“ヒランヤ”になっていたりと、グラフィック面においてさまざまなコラボ要素が見受けられる。
さらに、各ワールドに登場するキノピオが担当パーソナリティになっている点も、番組のファンからすると思わずニヤリとする細かい演出だろう。
国民的人気を誇るゲームと、深夜番組の代表格として多くのファンに愛され続けているラジオ番組……まさに夢のコラボといえる一作だ。