■その美しい正体に衝撃が走った! 「軀」
軀はストーリーの終盤に出てくるキャラクターであり、魔界の三大妖怪の1人だ。普段の姿は全身布で覆われており、上から無数のお札が貼られている。包帯から覗く右目はギョロリとしており、一見すると『ゲゲゲの鬼太郎』を彷彿とする気味の悪さやコミカルな印象があった。
そんな軀の正体が明らかとなったのが、飛影が時雨との戦いで相打ちになり、2人に再生治療を施したときだ。壮絶な過去を持つ軀は美しい半裸を露にしながら、同じく闇のなかを生きてきた飛影に「生きろ飛影」と声を掛ける。
軀の正体は半身を機械化した女性であり、隠された顔の一部は酸によって焼けただれていた。想像できないほどの過酷な過去を背負いながらも、緻密で強く、美しい彼女に心を奪われたのは筆者だけではないだろう。実際、氷泪石を介して飛影とのつながりを結んだ彼女に、憧れのような親近感を持った女性読者も多かったようだ。
■圧倒的な信頼と友情に涙する「樹」
樹は魔界の扉編に登場する、仙水のパートナーだ。闇撫(やみなで)と呼ばれる妖怪のひとりで、異次元に生きる下等妖怪を僕にできる能力を持つ。
26歳の樹は本作のなかではちょっと大人びた存在であり、ウェーブがかった長髪が魅力的な男性だ。もともと霊界探偵であった仙水と出会ったとき、樹は仙水に殺される運命であったが、人間らしいセリフを発したことで殺害を免れ、以来仙水を見守り、彼の望むままに手を貸し続けてきた。
最終的に仙水が幽助に倒されたあとは、その亡骸を抱え「これからは二人で静かに時を過ごす」と言って、亜空間に旅立つ。
樹は全体的にミステリアスに包まれた存在であったが、仙水へ寄せる信頼は厚かった。多重人格者でもある仙水を陰からサポートし、死んでもなお彼のそばに居続ける樹。敵キャラではあるが、こんなパートナーが本当にそばにいてくれたら……と憧れた女性読者は少なくなかっただろう。
『幽☆遊☆白書』に女性ファンが多いのは、普段はおちゃらけているのにたまに見せるクールな姿だったり、一見、冷酷なのに実は心の奥に秘めた優しさがあるなど、そのギャップにキュンとするポイントがあるからではないかと思う。
筆者の場合、登場当初はただのお笑いキャラだと思っていた“コエンマ”が、人間界バージョンで登場したときは驚いた。仙水に向かって魔封環を打つシーンなどは、今思い出してもキュンとしてしまう。
Netflixの実写版『幽☆遊☆白書』でも、北村さんをはじめとした魅力的で豪華な俳優たちが次々と登場する。漫画やアニメとは違った世界観や、彼らの活躍にもぜひ注目したい。