■仲間でもグラの使い回し スーファミ版『ドラゴンクエストVI 幻の大地』のテリー
最後に紹介するのは、『ドラゴンクエストVI 幻の大地』に登場するテリーだ。テリーは最強の剣を求めるさすらいの剣士として、冒険する主人公たちの前に何度か現れる。仲間の一人「ミレーユ」とは、姉弟関係なのだが、幼少期に生き別れてしまった過去を持っている。
そんなテリーは、力を求めるあまりに魔王の一人「デュラン」の配下となってしまい、主人公たちとヘルクラウド城で戦うことになる。その戦闘シーンでのテリーは、なんとフィールド上のテリーのグラフィックを拡大しただけのもの。『ドラクエVI』といえば、戦闘シーンにおけるモンスターのモーションがウリなのだが、テリーの攻撃時にはなんのモーションも無い。
さすがに制作サイドも味気ないグラフィックだと感じたのか、リメイク版では専用のグラフィックが用意され、モーションも修正されている。ちなみに、テリーはグラフィックだけでなく、ステータスも上方修正されている。
今回は重要キャラなのに、グラフィックを使い回されたキャラについて紹介した。他にも、『ドラクエVI』に登場する誘拐犯「ビッグ」と「スモック」は、親分の「ビッグ」はモンスター「オークマン」の使いまわしなのに対し、子分の「スモック」はほぼオリジナルのグラフィック。グラフィック上では、子分の方が優遇されているのが面白い。
ファミコンが生まれて今年で40年を迎えたが、グラフィックの使い回しは、容量制限がある時代における制作サイドの工夫が伝わってくるものばかりだ。