1986年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売され、現在まで最新作の制作が続く国民的RPG『ドラゴンクエスト』シリーズ。2023年12月1日にはスピンオフ作品『ドラゴンクエストモンスターズ3 魔族の王子とエルフの旅』が発売され、いまだにその人気は衰えることを知らない。
そんな『ドラクエ』では個性豊かな敵モンスターたちのデザインも魅力だが、中には「ドラキー」と「ドラキーマ」のように「色違い」のものが多く設定されており、物語が進んだ先で色違いの強敵の登場に驚かされたもの。
色を変えるだけで別のモンスターを表現するという手法は、ファミコンやスーパーファミコン時代のソフトの容量が少なかった頃のゲームのアイデアだが、中には大盗賊「カンダタ」のように冒険上重要キャラなのに、ザコ敵やモブキャラの「色違い」グラフィックが使い回されているキャラがいる。カンダタにいたっては、「さつじんき」や「エリミネーター」系の色違いである。
そこで今回は、重要なキャラクターなのに、グラフィックが使い回されているキャラクターについて振り返りたい。
■ラスボスよりも印象深いのに…スーファミ版『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』のゲマ
まずは、スーパーファミコン用ソフトとして発売された『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』に登場する「ゲマ」だ。ゲマといえば、『ドラクエV』における主人公の仇敵。ゲマは、主人公の父親「パパス」を殺めただけでなく、主人公を10年にも渡る奴隷人生に突き落とした張本人でもある。
スーファミ版では主人公と妻を石化させるのは、部下の「ジャミ」の役割だったのだが、リメイク版では凶悪度が増し、その役目がゲマに変更されますます憎い存在になっていた。
そんなゲマは青い肌に目を赤く光らせた老人のような見た目で、オレンジとエンジ色のローブを羽織ったデザイン。忌々しい強敵として印象に残る見た目ではあるのだが、青年編になってからマップ上で登場するザコ敵「ネクロマンサー」がゲマと全く同じグラフィックが採用されているのである。色違いならまだいいのだが、カラーまでネクロマンサーと全くの同色のため、ファンの間では「量産型ゲマ」と呼ばれることも。
リメイク版では色の差別化がされたが、マップ上やダンジョンで突如、時には3体同時に登場することもあるネクロマンサー。主人公のギョッとする表情が見えるような使いまわしされた敵デザインだった。
■勇者の父親はパンツ一丁 ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のオルテガ
モンスターの色違いといえば、外せないのがファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「オルテガ」だろう。オルテガは、主人公である勇者の父親で、魔王バラモスを倒すために世界中を冒険するも、ネクロゴンドの火山にて魔物との戦いの最中に火口に落下。そのため、勇者やアリアハンにはオルテガが死亡したと伝えられていた。
成長した勇者が代わって、魔王バラモス打倒に乗り出し、バラモスを討伐。その後、アレフガルドを支配しているゾーマを倒すためにゾーマ城に乗り込む。そこには、なんとオルテガが、ゾーマの手下の「キングヒドラ」と戦闘しており、オルテガが実は生きていたことを知るのだ。
ところが、その戦闘シーンで使われているオルテガのグラフィックが、前述した大盗賊「カンダタ」と全く同じものだった。カラーこそ異なるものの、覆面にパンツ一丁と右手に斧というスタイルは変わらない。
「勇者の父親」という立ち位置なので、もう少し勇ましいキャラのグラフィックにしてほしかったが、当時の容量を考えるとやはり贅沢は言えない。
そんなオルテガだが、スーファミ版以降のリメイクでは、ちゃんとしたオリジナルのグラフィックが設定されている。