「兄弟は両手の如し」どんなときも兄弟は、左右の手のように助け合わなければならないという教訓だ。
これまでスポーツ漫画やバトル漫画では、互いを助け合う兄弟たちが数多く登場してきたが、なかには助け合いが過ぎて「これって反則じゃないの?」と思ってしまうようなとんでもないコンビ技を繰り出す兄弟も……。
そこで今回は、『週刊少年ジャンプ』連載の人気漫画にスポットをあて、兄弟たちがコンビで繰り出した突拍子もない必殺技を紹介する。
■『北斗の拳』ハーン兄弟「南斗双鷹拳」
はじめに、原作・武論尊氏、作画・原哲夫氏の『北斗の拳』から、兄・バズと弟・ギルのハーン兄弟を紹介する。
80年代の米日プロレス界を席巻したザ・ロード・ウォリアーズのような屈強で荒々しい見た目のハーン兄弟。肉体的にも精神的にもタフなのであろう、初登場の彼らは暗い部屋にコンクリートで固められている過酷な状況におり、天井のパイプから落ちてくる水滴を何千万回とひたすら数えて生きていた。
ハーン兄弟はその巨漢とは裏腹に、華麗な南斗聖拳の使い手でもあり、二人で飛び上がり鷹の両翼のように空中から舞い降りる「南斗双鷹拳」を繰り出す。そしてアニメ116話『南斗の魂燃ゆ!壮絶ハーン兄弟!!』で元斗皇拳の伝承者・ファルコとの対決の際、派生技であるコンビ技「双羽落爪破」を見せる。
これは兄弟二人で空中に飛び上がり、弟・ギルが兄・バズの左腕につかまり、バズが右手で攻撃するというもの。原作の漫画では正確な動きが分からず、片手につかまることで不規則な運動をしていることや、弟のギルがバズを振り回していることなどが推測される技だった。
動きがわかりやすいアニメ版で確認するとそこまで複雑な動きはしておらず、単純に二人の重さを拳に乗せているだけのようにも見える。いずれにせよ、その真価を見せる前に残念ながらファルコに敗れている。その後ファルコを道連れにしようと不発弾を爆殺させ、アニメでは二人とも死亡、原作漫画では弟ギルだけが生き延び北斗の軍へ従軍している。
なかなか男気と愛嬌があったハーン兄弟であり、双羽落爪破は兄弟愛あふれるコンビ技だった。
■『キャプテン翼』立花兄弟「スカイラブハリケーン」
スポーツ漫画にもコンビ技を繰り出す兄弟がいる。その代表格は、高橋陽一氏の『キャプテン翼』に登場する立花兄弟ではないだろうか。
兄・政夫、弟・和夫の双子の兄弟で、出っ歯で小柄なかわいい二人は全く見分けがつかない。それもそのはず、作者である高橋氏も描き分けをしていないとのことだ。
「小学生編」で秋田代表・花輪SSメンバーとして全国大会に出場した立花兄弟は、翼が所属する南葛SCと対戦。双子ならではのコンビネーションと、身軽さを生かしたアクロバットサッカーを得意としていた。
そして「中学生編」では、花輪中としてまたしても全国大会で翼の南葛中学校と対戦し、ここで兄弟コンビ技「スカイラブハリケーン」を初めて披露。NASAの宇宙ステーション計画「スカイラブ計画」から名付けられたその技は、一人が発射台として仰向けになり、もう一人はそれを使って上空へ勢いよく飛び上がるというコンビ技。低空飛行や守備にも応用可能な有能な技だった。
しかし、いくら小柄で身軽な立花兄弟とはいえこの技は相当身体への負担があるらしく、1試合で使用できる回数には限りがあり、二人の体の成長に伴いやがて封印技に……。その後『キャプテン翼 GOLDEN-23』で描かれたオリンピック出場をかけたオーストラリア戦で、「ファイナルスカイラブハリケーン」として使用されたが、得点はしたものの負傷退場となっている。
ちなみに、サッカー少年なら一度は試したくなるこの「スカイラブハリケーン」だが、他の選手を持ち上げたり、他の選手を利用してジャンプしてはいけないため、残念ながら現実の試合でやると反則だ。