■ひろみを偵察するお蝶夫人『エースをねらえ!』夜の電話確認

『エースをねらえ!』は、山本鈴美香さんによるテニスを題材とした人気漫画だ。本作で話題をさらった人気キャラクターといえば、主人公の岡ひろみより“お蝶夫人”こと竜崎麗香が有名ではないだろうか。

 お蝶夫人はひろみの先輩であり、西高テニス部のエースだ。口元に手を当て「おほほほ…」と笑う姿は、少女漫画界に大きなインパクトを残した。そんなお蝶夫人は心身ともにひろみを守ってくれる存在であったが、登場初期のころにはやや迷走しているシーンも多かった。その一つが、ひろみを偵察するシーンである。

 ひろみは宗方コーチのもと実力を付け、男子テニス部のプリンスである藤堂貴之ともイイ感じになることから、お蝶夫人は気が気ではない。そこでお蝶夫人は自分を慕う後輩たちに、ひろみの日頃の行動を偵察するように命じる。

 ひろみを尾行し「あ 蝶ねえさま じつはいま…」と、お蝶夫人に電話をかける後輩。電話を受け取ったお蝶夫人は、家の中なのになぜか豪華絢爛なドレス姿。頭には大きなリボン、そして首元にはオシャレなチョーカーを巻き、ナポレオンが座るような煌びやかな椅子に腰かけている。そして暖炉のパチパチ燃える炎の前で、ひろみに対しさらなる闘志を燃やすのであった。

 そもそも「よろしくてよ」「あたくしは…」といったセリフを口にするお蝶夫人は、とても高校生には見えない。くつろぐはずの自宅で、全身完璧なドレスコーデで過ごしているのもかなり面白い。しかしそんな豪華絢爛なお蝶夫人は、当時漫画やアニメを見ていた多くの少女にとって憧れの存在でもあった。

 

 今回紹介した“ちょっと笑えるシーン”は、漫画だけでなくテレビドラマなどでも多く見られた。当時はそうは思わなかったが、今では「ありえない!」と、思わず吹き出してしまうような場面も多い。

 しかしそんな笑えるシーンがあるのも、昔の作品の良さだろう。ちょっと笑える場面は今回紹介したコマ以外にもたくさんある。ぜひ昔の作品を手に取り、その時代ならではの面白いシーンを確認してほしい。

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