■コイツのワガママがすべての始まりだった…!? 『ドラクエ5』ヘンリー王子誘拐事件
『ドラクエ5』では、誘拐事件が多発する。妻や母もさらわれている主人公だが、プレイヤーとして最初に遭遇するのは、少年時代のヘンリー王子誘拐事件だ。
ラインハットのワガママ王子でもあるヘンリーは、後妻の王妃から弟のデールを次期国王にさせようと妬まれていた。ヘンリーの部屋は2階にあるのだが、誘拐犯たちは1階で様子を伺っていたので、ヘンリーがよく使う隠し階段を知っていることになる。しかも、施錠されている裏口から侵入しているあたり、内部の人間が関与しているのは間違いない。
ラインハットへ同行していた主人公の父・パパスにこの事件のことを伝えると、猛ダッシュであとを追いかけていく。いやいや、幼少の息子を置いていくなよ親父……。連れ去られて行ったのは古代の遺跡で、ここで犯人一味から王妃が関与していることを聞くことができる。
ここのイベントは『ドラクエ』シリーズでも屈指の名場面でもあり、パパスが主人公をかばって命を落とすのはあまりにもつらい。そして、憎きゲマの存在も強烈だったものだ。
でもよく考えると、ヘンリーのワガママが過ぎたことが問題だ。お守り役としてパパスが来たのに、邪険にするからいけない。隠し階段も以前から使っていて城の誰かを驚かしていただろうし、行動パターンを読まれているから裏口から誘拐されてしまったのだろう。
パパスが側についていたら誘拐もなかったし、奴隷になることもなかったし、なによりパパスが早期に死ぬこともなかったのである。まあ、でもこのイベントがないと主人公が成長しなかったかもしれないし、ヘンリーはマリアと結婚していなかったかもしれないな。
いや、大神殿でマリアが殺されていた可能性も考えられるから、ゲーム的には仕方ないといえるものだ。
『ドラクエ』には誘拐イベントがつきものだが、混沌とした世界なのでみんな余裕もないのだろう。それにしても『ドラクエ5』の主人公は自身を含めて母や妻までもが誘拐されており、父を目前で殺されて10年間奴隷になって、強制的に結婚させられて石化するなど、あらためて壮絶な人生だな……。