■ドタバタコメディならではのガールズラブ!『有閑倶楽部』
一条ゆかり氏による『有閑倶楽部』は、1981年に『りぼん』(集英社)で連載がスタートした人気漫画だ。
生徒会に所属する才色兼備の6人は、実は暇を持て余す“有閑倶楽部”のセレブメンバー。なかでも男勝りな主人公・剣菱悠理は運動神経抜群、見た目もボーイッシュであることから、毎朝のように女子からラブレターをもらっている。
しかし、本作に登場した女性から女性への告白シーンは、意外にも男性からモテモテのお色気キャラ、黄桜可憐のシーンだった。りぼんマスコットコミックス第1巻のPART3では、八百長と犯罪が絡んだダンス選手権に可憐と美童が挑む。犯罪を暴くためにも負けられない2人は周りの選手に薬を仕込むことにするのだが、しかし普段女性にモテる美童が女性選手に仕込もうとしてもまったく相手にされない。
ショックを受けた美童を尻目に、化粧室で女性選手に近づく可憐。すると相手の選手から「聖子いろんな大会でてるけど お姉さまみたいに好みの人 はじめて」と、告白されるのだ。
いきなりの展開に驚く可憐だが、薬を飲んでもらうために「口紅が淡いみたいね 私のをわけてあげる」と、手を取りキスをして薬を口移しで飲ませるのであった。
この場面はロマンチックとは言えないものの、有閑倶楽部ならではのドタバタ展開にさらなるインパクトを与えたシーンとなっていた。
今回紹介した作品では、女性同士の恋愛は成就していなくとも、告白シーンが美しく情熱的に展開されているのが印象的だ。今よりも理解されにくかった時代に女性同士の恋愛を描いた貴重な場面と言えるだろう。
ガールズラブは男女にはない独特の雰囲気もあり、新鮮な視点とストーリーが楽しめる。今回紹介した作品を思い出しつつ、女性同士の恋愛模様が描かれる作品を探してみるのも面白いだろう。