『ベルばら』『エースをねらえ!』にも…情熱的なガールズラブは昔の少女漫画にもあった! 印象的だった「女性同士の告白シーン」の画像
フェアベルコミックス『ベルサイユのばら』第3巻(フェアベル)

「BL(ボーイズラブ)」と呼ばれる、男性同士の恋愛漫画が人気だ。さらに近年では“百合系”と呼ばれる女性同士の恋愛、いわゆる「ガールズラブ」も人気を博している。

 百合系の作品は近年になってから一気に増えたイメージがあるが、実は昭和の人気漫画にもたびたび登場していたことをご存じだろうか。しかも昔の少女漫画には、当時にしかないノスタルジックな雰囲気もあり、女性同士の恋愛をさらに美しく展開しているように思う。今回は、そんな昔の少女漫画にあった、女性から女性への印象的な告白シーンを紹介しよう。

■元祖ガールズラブといえばこの作品!?『ベルサイユのばら』

 池田理代子氏の『ベルサイユのばら』は、1972年に『週刊マーガレット』(現:『マーガレット』集英社)で連載がはじまり、昨年50周年を迎えた。

 主人公は男装の麗人・オスカル。そんな彼女を愛したのが、オスカルを献身的にサポートする少女、ロザリー・ラ・モリエールだ。ロザリーは不慮の事故で母親を失ったことをきっかけに、オスカルのいるジャルジェ家に引き取られる。美しい振る舞いに加え、自分のことを大事にしてくれるオスカルに惹かれていくロザリー。

 ある日、ロザリーはその気持ちを抑えられず「どうか…どうかいつまでもおそばにおいてください! わたし…オスカルさまが……」と、自分の気持ちを打ち明けようとする。そんなロザリーに対しオスカルは「おまえのことは妹とも家族とも思っている じぶんの家と思っていつまでもいてほしい」「だが忘れるな! わたしは女だ」と、ぴしゃりと振るのであった。

 その後、ロザリーはオスカルを愛しつつも、ジャルジェ家をあとにする。ロザリーが去るとき、彼女を抱擁して頬にキスをしたオスカル。そして「まるで…春風のような娘だった…」のセリフ後に、涙を流していた。恋愛的な感情はなかったとはいえ、オスカルもロザリーを大切に想っていたことが分かるシーンだ。

■スポ根の裏で秘めたる乙女の想い『エースをねらえ!』

 同じく『週刊マーガレット』から。山本鈴美香氏が手がけた『エースをねらえ!』は、70年代にテニスブームを引き起こした名作だ。主人公・岡ひろみがコーチの宗方仁から特訓を受けるシーンは壮絶で、『アタックNo.1』と並び、元祖女性スポ根漫画とも言えるだろう。

 そんな本作にも、実は女性から女性への告白シーンがある。高校2年生になったひろみは、下級生にテニスを教える立場になるが、そのとき指導をしたのが“お蝶夫人2世”と言われる美しい後輩の英玲(はなぶされい)だった。

 髪型は縦ロールでゴージャスなリボン、長いまつげに端正な顔立ちの玲に、ひろみも最初は驚く様子を見せていたが、その後はとくに意識などせず、西高の次なるエースに育つよう尽力していく。

 しかし玲がひろみを見る目は“尊敬する先輩”としてだけではなく、“愛する人”としてのものだった。練習中、顔を洗うひろみのところに現れた玲はひろみに「竜崎さん(お蝶夫人)を…いまでもお好きですか?」と問う。“素晴らしい方だから全部好き”とひろみが答えると、玲は「わたしもあなたのなにもかもが好き」「あなたが 大好き」と告白をする。うろたえたひろみは、その場から逃げ出してしまう。

 その後、玲とひろみには特別な進展はなく、テニス界を牽引する先輩後輩同士といった関係が続いていく。玲がひろみを見つめる目は情熱的であったが、ひろみには藤堂という恋人がいたため、叶わぬ恋だと分かっていたのだろう。

 玲の告白はあまりにも美しく唐突であったので、ひろみだけでなく、読んでいるほうもちょっと赤面してしまうようなシーンであった。

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