■苦情が殺到した!?『ガンダムSEED』フレイ&キラ

 2024年に新作劇場版の公開が予定されている2000年のテレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED』では、キラ・ヤマトとフレイ・アルスターの性的な表現がお茶の間を凍り付かせた。問題のシーンがあったのは、PHASE-16「燃える砂塵」。

 ただ、テレビ放送版では露骨な描写ではなく、警報が鳴り部屋を飛び出すキラをベッドから起き上がった裸(半分だけ見える状態)のフレイが見つめているという、“事後”を匂わせるものであった。もともとフレイは大人っぽく肉感的に描かれていたこともあり、問題の場面がよりセクシャルに見えた一面もあるかもしれない。

 16話が放送されたのは土曜の18時という時間帯。週末の夕方ともなれば、家族がそろっていることも多いだろう。

 当時のフレイは15歳、キラは16歳と、そうした行為をするには早いと考える人も多い年頃だ。ゆえに、親の中には不快感を覚えた人も多かった。実際、BPOには「子ども向けの放送に相応しくない」といったクレームが多数寄せられ、局が回答を求められる事態にまで発展している。

 しかし、同作はスペシャルエディション「虚空の戦場」でこの場面をリメイクし、フレイとキラがさらに具体的かつ直接的な絡みをしている刺激的な映像を差し込んだ。さらに2004年には、これをテレビ放送もしている。

■気まずいシーンも多かった80年代~90年代の名作たち

 現在は、18時から19時台放送のアニメの放送本数はすっかり少なくなってしまったが、80年代〜90年代にかけてはどの曜日にも人気作が放送されており、また子ども向け作品だとしても比較的普通に女性キャラが衣服を放り出すようなシーンも描かれていたように思う。

 80年代のアニメは、ぼかしたり湯気で隠したりといったデフォルメ系ではなく、バストトップまで分かるようなリアルな描写もあった。たとえば1989年放送の『らんま1/2』もその作品のひとつだろう。同作は、水をかけられて女になった早乙女乱馬がしょっちゅう胸を丸出しにしてドタバタしていたり、ほかの女性キャラの入浴シーンがあったりと、女体に対するハードルが低かったように思う。

 一方で、昔のアニメは変身ヒロイン作品の変身シーンも刺激的だった。古い作品では『キューティーハニー』が有名だろう。1984年放送の『夢戦士ウイングマン』や1985年放送の『ダーティペア』も、戦いの最中で際どい姿にされている描写が多かった。

 令和の現在でも変身ヒロインやバトルアニメは子ども人気が高いが、変身シーンでは露骨なセクシーさをアピールしていない。しかし、現在のアニメは裸こそ映らないが女性キャラの体型が過剰なまでにセクシーに描かれている作品も多く、見ようによっては昔よりもセクシャルな印象が強い側面もあるのではないだろうか。

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