『ドラゴンクエスト』シリーズには、複数作品にわたって登場しているキャラクターが存在している。たとえば、『ドラクエ3』で初登場した大盗賊・カンダタや『ドラクエ4』で初登場した地獄の帝王・エスタークなどのボスキャラが有名どころだ。また、トルネコやテリー、カミュなどは外伝作品の主人公として活躍する人気キャラクターだ。
しかし、中には複数のナンバリングタイトルに登場しているにもかかわらず、イマイチ存在感が薄いキャラクターもいるのはご存じだろうか。
そこで、今回はいくつもの『ドラクエ』に登場しているものの、存在感の薄さからプレイヤーから忘れられがちなキャラである、「ピピン」と「パノン」の2人の歴代作品における物語を紹介したい。
■『5』では仲間にもできた「ピピン」リメイク版ではキャラ変も
まずは『ドラクエ4』と『ドラクエ5』に登場する「ピピン」。
『ドラクエ4』に出てくるピピンは完全なNPCであるため、思い出せない読者も多いだろう。ピピンは第4章でミネアとマーニャと一緒の船に乗っていた男の子。姉のルナとともに、炭鉱・アッテムトで働く父親に会いにハバリアまでやってきたものの、会えずじまいだったということがセリフで分かるが、そのときには特にイベントはない。
しかしストーリーを進めると、荒廃したアッテムトで手紙をもった白骨化した遺体が見つかる。その手紙には「おとうさんはやくかえってきてね。おとうとのピピンもさみしがってるわ。こんどふたりで あいにいきます」と書かれており、その遺体こそピピンとルナが会いたがっていた父親であることが判明する。このシーンは非常に印象的であるため、『ドラクエ4』のピピンは覚えていなくても、このシーンは覚えているというプレイヤーは多いだろう。
そして、次作である『ドラクエ5』では、グランバニアの兵士「ピピン」を仲間にできる。スーファミ版では実直な一般兵だったが、リメイクによりお調子者で女性好きなムードメーカーに生まれ変わった。冒険の途中で話しかけてみると、子ども以外の女性であれば「マリアっていうのか…。美しい名前だ…ぽっ…」や「港町かぁ…美人が多そうですよね。」など嫁探しをはじめてしまう。
そんなマイペースなピピンだが、『ドラクエ5』でも仲間にするかどうかはプレイヤーによって委ねられている。特別なストーリーをもつわけでもなく、エンディングにも映らない不憫なキャラでもある。
しかし、『ドラクエ5』は主人公が最も過酷な人生を送る作品といわれることも多いため、暗い気持ちになることも多い。そんな中、ピピンに話しかけることで、プレイヤーも励まされることもあるだろう。スタメンとして活躍することはあまりないキャラではあるものの、冒険を明るくしてくれるピピン。次回プレイする際にはぜひ仲間にしてみてはいかがだろうか。
また、『ドラクエ6』のリメイク版のデスコッドでは、「遠い未来」の夢を見せてもらうと、『ドラクエ5』のキャラの様子を知ることができるのでおすすめ。そこでは、一般兵士の役割である門番の仕事に元気に従事しているピピンに会えるだろう。