『クレイジー・クライマー』や『迷宮組曲 ミロンの大冒険』も… ファミコン黄金期の1986年「人気タイトルの陰に隠れた良作ソフト」たちの画像
ファミコンソフト『クレイジー・クライマー』

 ファミコンの黄金期といえば1986年といえる。『ドラゴンクエスト』を代表に、『プロ野球ファミリースタジアム』、『グーニーズ』、『ツインビー』、『グラディウス』など、名作といえる人気タイトルが並んでいたものだ。今回は、そんなファミコン黄金期の陰に隠れてしまった良作ソフトを見ていこう。

■超高層ビルをひたすら登れ! コントローラー2つ持ちが斬新だった『クレイジー・クライマー』

 12月に日本物産(ニチブツ)から発売されたのが『クレイジー・クライマー』だ。アーケードからの移植になるが、ファミコン版も十分に楽しめる。クライマーを操作して超高層ビルをひたすら登り続けるのだが、コイツはなぜか命綱をしない。

 屋上まで登ってからヘリコプターで離脱するときにも、片手で捕まっている始末。よっぽど腕力に自信のあるクライマーなのだろう。

 さて、このゲームは同梱されている「クライマー・スティック」を2つのコントローラーに装着する。縦持ちにして十字キーの押し方でクライマーの動作を決めるというもので、当時でも画期的だった。

 そして、なぜか高層ビルなのに邪魔をしてくる敵キャラがいるのは困ったものだった。“おじゃまマン”や“ガイコツ”は窓から物を投げつけてくるし、“笛吹きマン”はピロピロを伸ばしてくるのでイライラする。というか、窓からガイコツって……。普通に怖すぎて、クライマーもビックリして足を踏み外して落ちるだろう。

 もはや殺人未遂級ともいえるほどの敵キャラたちなのだが、よくわからんのが巨大ゴリラやゴジラもどきだ。何でこんな奴らがビルの上に存在しているの? しかも当時のファミコンでは、その敵キャラの大きさに驚いたもの。

 まあ、このゲームが発売されたのはクリスマスシーズンだったし、CMで専用の「クライマー・スティック」を知り、思わず欲しくなってしまったものだ。

■とってもシンプルなパズルゲーム… でも順番間違えば詰んでしまう『BANANA』

 ビクター音楽産業(現:JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)から9月に発売されたのが『BANANA』だ。モグラの主人公モールを操作して、食べ物を拾いながら途中で妻のキーコと合流し、最終的には扉に入って脱出する。モグラなのにハシゴを登ったりするのだが、地中を掘り進んでいるようなので地面が続いている限りは進める。

 岩の下を通ると落ちてくるので次は通れない。食べ物を効率よく全部取ろうとすると、岩を落とすことも必要となる。考えて通らないと食べ物を取れないだけでなく、取っても戻れないこともある。順番を間違えると詰んでしまうのがやっかいなのだ。いや、岩くらい削って進めよ……。モグラだろ?(いやさすがに無理か)

 時間制限や敵キャラが存在せず、ゆっくり考えられるからクリアできないということはなかった。アクション性がないので飽きやすい面もあるが、じっくりパズルを解きたい人には最適なゲームといえるだろう。

 妻を連れて脱出するのだが、よく考えるとほとんど生き埋め状態。あ、でもモグラだから大丈夫なのかな? でも、詰んでしまった夫をずっと待っている妻の心境って、なかなかつらいものだろう。

 それは置いておくとして、とにかく戦術性に優れたゲームだったものだ。

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