1968年の創刊以来、少年漫画界をけん引し続けている『週刊少年ジャンプ』。1980年代後半から1990年代中期にかけてはいわゆる「黄金期」と呼ばれた時代で、1995年3・4合併号には発行部数が歴代最高記録の653万部を越えるという盛り上がりのピークを迎えている。
しかし、1995年半ば頃からは部数が下降し始め、集英社はこの事態に編集長を変えるといった処置を取るが、1997年にはついに『週刊少年マガジン』に抜かれてしまう。そこから数年間は低迷が続くことになる。
たしかに1994年〜96年には『幽☆遊☆白書』『ドラゴンボール』『スラムダンク』といった看板漫画が終了しているので、97年は転換期に入るタイミングではあった。とはいえ、当時連載されていた漫画たちが地味だったのかと言われればそうではない。むしろラインナップは驚くほど豪華なのである。
そこで今回は、ジャンプ「黄金期」が終焉を迎えた1997年に連載されていた作品を振り返ってみようと思う。
■『ONE PIECE』もスタートした1997年連載開始の名作たち
今や世界中にファンを持つ尾田栄一郎氏の大人気漫画『ONE PIECE』は、1997年の34号から連載が始まった。早い段階で巻頭カラーを飾ったり掲載順が上位になったりしていたことからも、読者からの注目度の高さが伺える。1997年といえば、ちょうど初期の仲間が増え物語が盛り上がり始めたあたり。『ONE PIECE』はここからさらに人気を集め、ジャンプを支える看板作品になっていく。
その前号である33号からスタートした島袋光年氏によるギャグ漫画『世紀末リーダー伝たけし!』も、忘れてはいけない存在だろう。ギャグ、シリアスなストーリー、バトル要素が絶妙に組み合わさった同作は瞬く間にヒットし、『ONE PIECE』とともに人気漫画となった。時代が変わった今でも、「面白い漫画だった」と懐かしむ読者は多いはず。
同年19号からは、『I”s』がスタートした。『ウイングマン』『電影少女』などの人気作を生み出してきた桂正和氏の新作ということもあり、読者の期待値も高かった同作。登場人物たちのおりなす恋愛模様も見どころだったが、ジャンプにはあまりなかった過激な描写の数々は、当時の少年たちに大きな刺激をもたらしたものだ。
■良作揃い!1997年に連載中だった作品たち
1997年に連載中だった作品たちは、『ジョジョの奇妙な冒険』『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』『みどりのマキバオー』『遊☆戯☆王』『地獄先生ぬ~べ~』『封神演義』『WILD HALF』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』『BOY』など。改めて見ても、目玉作品だらけである。これだけのラインナップをもってしても低迷期になるとは黄金期のジャンプ恐るべし。
この頃の『ジョジョ』は、今でも根強い人気を誇る第5部「黄金の風」が連載されていた。さらに『るろ剣』は志々雄との戦いから追憶編に突入した辺りで、読み応えがあるエピソードだった。
この後ジャンプは、1998年に『HUNTER×HUNTER』、1999年には『NARUTO-ナルト-』といった作品がスタートし、かつての盛り上がりを取り戻していくことになる。