■物語のはじまりともいえる記念すべき脇役…『るろうに剣心』窪田正孝
実写映画は続編が作られているものも多く、和月伸宏さんの名作剣劇漫画を原作とした『るろうに剣心』も、主人公・緋村剣心が登場する第1作をはじめ、2作目となる『京都大火編』、3作目の『伝説の最期編』と、全5作品が公開されている。
原作を忠実に再現した激しい“殺陣”が見どころの本作では、主人公に佐藤健さんを起用し、宿敵・志々雄真実役には藤原竜也さん、剣心の師匠・比古清十郎役に福山雅治さんを起用するなど、終始豪華な顔ぶれが並ぶ。
実写版では原作通り、主人公である剣心の頬につけられた“刀傷”の謎が解き明かされるのだが、この傷にかかわる重要な役に抜擢されたのが、『ケータイ捜査官7』や『ラジエーションハウス〜放射線科の診断レポート〜』といった数々のドラマで主演を務める窪田正孝さんだった。
いまや数々の名誉ある賞を獲得しているスター俳優の一人だが、実写版『るろうに剣心』に登場していることを知らないファンも多いかもしれない。
作中、窪田さんが演じたのは、剣心の過去編に登場する清里明良という役柄だ。実はこの人物こそ、剣心の頬に“刀傷”をつけた最初の人物で、剣心の妻であった雪代巴の元許嫁だった。
実力では剣心に遠く及ばないためあっさりと殺されてしまうのだが、一方で彼が“絶対に死ねない”という執念から放った刃が、剣心の頬に消えない傷跡を刻むこととなる。
ほんのわずかな出番でありながら、許嫁の巴のために死に抗おうとするその鬼気迫る姿を、窪田さんは見事に演じ切っていた。いわゆる“切られ役”とも言える配役だが、それでいて『るろうに剣心』の物語のはじまりともとれる重要な役回りを演じた、なんとも意外な大物俳優だ。
実写版映画となると、メインキャラクターたちを演じる俳優たちに目が行きがちだが、あらためて見てみると脇役やチョイ役にすら思いがけない大物が配役されていることに驚かされてしまう。
一度見た作品も細部に目を凝らしてみると、まだまだ意外な大物たちが隠れているかもしれない。