人気漫画作品の実写版ではさまざまな俳優、女優たちがキャラクターを演じているが、なかにはあまりにも意外な人物が「チョイ役」として登場し、話題になることもある。あまりにも一瞬すぎて見逃してしまいがちな、大物芸能人たちの活躍について見ていこう。
■最初の被害者はリズムネタでおなじみのあのコンビ!? 『20世紀少年』オリエンタルラジオ
1999年から『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載された、浦沢直樹さんの『本格科学冒険漫画 20世紀少年』は、現代を舞台にした長編SF作品である。
主人公は夢を諦め、コンビニを経営しながら平凡な日々を過ごしている遠藤健児。しかし、“ともだち”と呼ばれる存在によって、健児らが少年時代に作り上げた空想が徐々に現実世界を侵食していく。
混沌に巻き込まれていく彼らの奮闘劇、練り込まれたシナリオによるサスペンス性がウリとなり、その人気から3部構成で実写映画化された。
原作の再現度の高さが大きな話題となった本作。唐沢寿明さん、豊川悦司さん、常盤貴子さんといった超大物俳優たちが並ぶなか、実はほんのチョイ役として、とある“有名お笑いコンビ”の二人が出演していた。
そのコンビこそ、独特のリズムネタで一世を風靡した“オリエンタルラジオ”の二人だ。中田敦彦さん、藤森慎吾さんはともに映画版第1章『終わりの始まり』で、物語が凄まじい盛り上がりを見せる終盤で一瞬だけ登場している。
そのシーンとは、“ともだち”によって2000年の大晦日に巨大ロボットが作動し、まさにロボットが街を蹂躙しようとする場面。主人公・健児の歌を聴きに来ていた二人は、その足でスクーターに二人乗りをし、ナンパの話に華を咲かせながら大晦日の街へと繰り出す。しかし、偶然にも巨大ロボットと対峙してしまい、ロボットから発射された液状の“細菌兵器”をもろに浴び、そのまま死亡してしまうのだ。
健児の理解者というだけでなく、作中で“細菌兵器”の最初の被害者……と、意外にも重要な役回りを演じていた二人。一瞬で殺されてしまったいわゆる“チョイ役”ではあるものの、その死にざまによって“ともだち”の脅威を視聴者に見せつけたコンビである。
■この使い方はあまりにも贅沢すぎる…? 『HK/変態仮面』高畑充希、木南晴夏
過去から現代にいたるまで、数々の名作ギャグ漫画が実写映画化されているが、なかでも放送コードの限界に挑んだのが、あんど慶周さんの漫画を原作とした『HK/変態仮面』だ。
女物のパンティーを被ることで超人・“変態仮面”へと変貌する主人公を俳優の鈴木亮平さんが熱演し、役作りのため、トレーニングで仕上げた肉体美が大きな話題となった。
本作は出演する俳優陣も実に豪華な顔ぶれなのだが、なかにはその“チョイ役”ぶりに思わず驚いてしまうような、意外な実力派女優たちも登場している。その女優こそ、高畑充希さん、木南晴夏さんの二人だ。両名とも数多くのドラマや映画に出演しており、それぞれが歌手や声優とマルチな活躍を見せている。
作中、“変態仮面(ニセモノ)が起こしたスカートめくり事件”をワイドショーが取り上げるなかで、現場からの中継を行う“女性レポーター”と、それを受けて番組を進行する“女性キャスター”として、二人は登場した。
いわゆる名前のつかない“モブ役”としての出演なのだが、驚くべきはその登場時間。なんと二人合わせて“約10秒”ほどのわずかな時間しか出番がなく、あまりにもあっさりと該当シーンは終了してしまう。
作品によってはメインヒロインすら務めることもある二人だけに、この“10秒”のためだけの配役というのは、なんとも豪勢な使い方と言えるだろう。
しかし、わずかな時間とはいえ、そのなかで与えられた役回りを全力でこなす姿こそ、彼女らが実力派女優と呼ばれるゆえんなのかもしれない。目を凝らしていないと思わず見逃してしまいそうな、あまりにもさりげない配役である。