■ベストバウトに相応しい 『はじめの一歩』鷹村守VSブライアン・ホーク

 ボクシング漫画『はじめの一歩』(森川ジョージ氏)では、世界ジュニアミドル級タイトルマッチが名勝負だった。鴨川ジムの兄貴的存在である鷹村守と王者ブライアン・ホークとの一戦だ。

 ホークは日本人を徹底的に舐めきっており、鷹村のことも眼中にない。来日してからも女遊びに夢中……と、困った王者でもある。いつもはホークみたいな鷹村だが、ジュニアミドル級(現:スーパーウェルター級)では減量がかなり厳しく、ボクシングに嘘をつきたくない一心で必死にトレーニングに励んだ。

 まさに命を削るほどの減量をクリアした鷹村だったが、ホークの暴言に加えて鴨川会長が殴られてしまうなどのトラブルもあり、怒り心頭。

 そして試合がはじまるも、鷹村をあざ笑うかのようにホークは上体反らしから反撃し、2ラウンド目には2度のダウンを喫してしまう。鷹村勝てるの?と、筆者も心配になったものだ。

 鷹村も反撃するのだが、5ラウンドが終了するとスタミナが切れてしまう。無茶な減量からすでに体力が残っておらず、ここからはホークが一方的に攻め立てた。しかし、渾身の一撃を食らって倒れる寸前、支えてくれている会長や後輩たちの想いに気付き、ここから怒涛の大逆転。しかも、急所を的確に狙う会長仕込みのパンチでホークにダメージを刻み込んでいく。

 最後は、上体反らしからの反撃にカウンターを合わせる打ち下ろしでフィニッシュ。大逆転KO勝利で鴨川ジムに世界チャンピオンベルトを届けた。勝利後はまあアレだが……名勝負が多い同作において、間違いなくベストバウトといえるだろう。

 

 格闘漫画では満身創痍になりながらの大逆転劇に興奮するものだ。ここで紹介した戦い以外にも、筆者が胸震えた一戦はまだまだある。またの機会に紹介していきたい。

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