昭和生まれなら幼い頃に親しんだであろう「駄菓子」。今でも販売されているものもあるが、値段は高騰し、駄菓子屋さんの数もめっきり減ってしまった。
昭和の時代、たった10円程度で購入できる駄菓子は子どもたちにとって最高のお菓子だた。しかしそのデザインや食べ方によって、失敗をしてしまったエピソードもあっただろう。今回は、美味しかったけれど欠点もあった“懐かしの駄菓子あれこれ”を紹介する。
■あまりの激似に大人から注意!「ココアシガレット」
タバコの形に似た駄菓子「ココアシガレット」(オリオン株式会社)。ハッカの香りとココアの風味が美味しく、昭和26年より発売されている。令和の現在もたびたび見かける超ロングセラー商品で、現在は40円で購入できるが、発売当時の価格はたったの5円。ピーク時には年間1800万個も出荷されていたという。
そんな「ココアシガレット」は“たばこを吸う大人に憧れる子どものため”に作られたパロディー菓子なので、本物のタバコに激似だ。これにより、筆者にはインパクトのある思い出がある。
小学校低学年の頃、冬の夕暮れ時にブランコに乗りながら友達とココアシガレットを食べていた。吐く息が白い季節だったので、シガレットを口にくわえながら息を吐くと、まさにタバコを吸っているように見える。
そんなことを楽しんでいたら、犬を連れたおじさんに「子どもがタバコを吸うんじゃない!!」と一喝されてしまった。弁解する暇もなく去ってしまったおじさん。
当時は、知らない大人が知らない子どもに対して平気で叱る時代。まさに「ココアシガレット」のほろ苦い味とともに、懐かしい思い出となっている。
■美しいダイヤだけど手はベタベタ「リングキャンディ」
「リングキャンディ」は、指にはめながら舐められるキャンディ型の駄菓子だ。ダイヤモンドの指輪のようなデザインで、その美しい見た目から、とくに女児に人気だった。
筆者がその駄菓子を楽しんでいた時期は、テレビアニメ『ベルサイユのばら』(原作・池田理代子さん)が流行っていたこともあり、“私はマリー・アントワネットよ、おほほほ”などと言いながら、リングキャンディを楽しんでいた記憶がある。
ただしこの「リングキャンディ」の欠点は、手がベタベタになることだ。基本的に指にはめながら舐めるので、キャンディの成分や唾液が手についてベタベタに。しかも飴自体が大きいため、なかなか食べ終わらず、指にはめたまま遊んでしまうことも多かった。気づくとリングの飴はホコリや砂まみれになっていた……。
しかし舐めれば舐めるほど光沢感が増すキャンディだったので、本物のダイヤを指に着けているような気持ちになれた。当時の乙女心をくすぐる素敵な駄菓子だったことを思い出す。