■時代を先取り『テイルズオブファンタジア』

 スーファミ時代には「昇竜拳」に「スピニングバードキック」などの技名が叫ばれた『ストリートファイターII』や、試合実況が行われる『実況パワフルプロ野球』といったタイトルも発売されたが、プレイヤーに大きな衝撃を与えたのが1995年12月、スーファミ時代の後期に発売された『テイルズオブファンタジア』。今や定番RPGとなった『テイルズ』シリーズの初作品だ。

『テイルズ』シリーズは、セル画のようなグラフィックに、声優が声を当てているサンプリングボイスをふんだんに使った「声」、アニメによるオープニングと、テレビアニメに大きく寄せた作りになっている。

 しかし、スーパーファミコン版の『テイルズオブファンタジア』には、時代性や、ハードスペックの限界からか、それらの成分はまだ入っていない。

 そういった演出が目立ち始めたのは、体感的には中期ぐらいからのプレイステーションソフトからのように思う。そんなプレステ中期以降のような、普段使いのボイス演出が、この『テイルズオブファンタジア』には取り入れられている。

 動作時の掛け声や、必殺技を叫ぶ「声」の演出は、スーパーファミコン時代には画期的なもので、当時衝撃を受けたプレイヤーは多い。ドット絵のグラフィックも凄いのだが、そのことがあまり話題に上がらなかったくらいに「声」のインパクトが凄かったのである。

 また、オープニングのアニメムービーは無いものの、楽曲がボーカル付きで流れるのも凄かった。昨今のアニメ風演出のゲームが増えたきっかけとなったゲームであることは間違い無いだろう。

 今回紹介した3作品は、どれも時代は違えど、当時のプレイヤーに大きな衝撃を与えたゲームばかりだ。絵や効果音だけだった時代に、突如として現れた「声」は、まったく新しい要素だった。

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