令和なら当たり前でも?ファミコン&スーパーファミコンで「声の表現」に感動した名作たち!5分間の歌声演出も…の画像
スーパーファミコン用ゲーム『テイルズ オブ ファンタジア』(ナムコ)

 ハードウェアのスペックアップにより進化していくゲームの世界。ゲーム中のキャラクターがジャンプや攻撃をするたびに喋るのは今や当たり前となったが、8ビットや16ビットCPUの時代にも「ボイス付き」のゲームがあり、ゲームの中から響く「声」に子どもたちは感動したもの。

 今回はそんなファミコンスーパーファミコン時代のゲームの中でも、特に「声」の描写が凄かったタイトルを見ていこう。

■ファミコン時代に長ゼリフ『天下の御意見番 水戸黄門』

 国民的時代劇『水戸黄門』のファミコンゲーム『天下の御意見番 水戸黄門』は、難易度高めのアクションアドベンチャーゲームだ。

 1987年にトーセより発売された同作の「声」の見どころは、最初のタイトル画面。なんと、「この紋所が目に入らぬか!」で有名な印籠の口上が流れる。しかも「静まれ、静まれい!」から「頭が高い、控えおろう!」まで、セリフが完全再現されているのだ。

 ファミコンの時代では、「やあっ!」や「いてっ!」といった、ダメージを受けたり攻撃したりするときのピンポイントのセリフでも珍しい。それにもかかわらず、こういった長いセリフが「声」で表現されているのは、演出的にも技術的にも三歩先を行っている。

 他にも「当たりー」や「いらっしゃい」など、ゲーム中で様々な「声」が聞こえるゲームだ。

 この『天下の御意見番 水戸黄門』には水戸光圀公に助さん格さんだけでなく、かげろうお銀、風車の弥七も登場する。モデルとなったであろうTBS系放送の『水戸黄門』第16部にのみレギュラーとなっている「香織」も登場していて、声だけでなくキャラクター的にも原作の再現度が凄い。

 ファミコン時代のゲームでは原作無視のタイトルも少なくなかった。そうした時代に細部まで原作の再現にこだわっていたというのは何よりのファンサービスだろう。ゲームから響く「声」から原作への愛とリスペクトを感じるタイトルである。

■もはや映画のオペラ座『FF6』のセリスの歌声

 ファミコン、スーファミ時代の、印象的な「声」の演出といえば、真っ先に思い出すのが『ファイナルファンタジーVI』だ。

 ストーリーの中序盤で、プレイアブルキャラクターの1人である「セリス」がオペラに出演するシーンがある。開演からイベントが発生する花束投げシーンまでは、およそ5分程度だが、その間ずっとオペラが流れていることになる。5分の長尺で「声」のイベントが続くのは、前代未聞のことであった。

 ここでの歌声は合成音声によるものだが、男性は低い声、女性は高い声で、その中でも人物によって全て違う音程というのにも、こだわりを感じる。5分間メロディを聞いて字幕を見ているうちに、ドット絵で表現されたキャラでありながらもまるで本当にオペラを見ているような気になるという、当時のRPGとしてはあまりにも斬新な演出だった。

 1994年に発売された『ファイナルファンタジーVI』は、スーパーファミコンの『ファイナルファンタジー』シリーズの最終作だけに、サウンドもグラフィックも当時の最高峰の作品となっている。オペラ座イベントは、「声」だけでなく、そういった全ての要素の相乗効果で、まるで映画のような満足感を感じるシーンとなった。

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