■本木雅弘主演、2000年放送のスペシャルドラマ
2000年と2001年には、本木雅弘さん主演によるスペシャルドラマがTBS系で3作品放送されている。演出は、『金田一少年の事件簿』『ケイゾク』などの大ヒットドラマを手がけた堤幸彦さんで、『池袋ウエストゲートパーク』『TRICK』が放送された2000年の3月に第1弾スペシャルドラマ『ブラック・ジャック』が放送された。
シリーズ第1弾は、「臓器農場行き幽霊バス」という完全オリジナルストーリーである。原作の“命の重さ”や“生と死”といった深いテーマを、“コメディ×ミステリー×オカルト”の堤演出でドラマ化された。ただ、2作目からは原作エピソードを多数取り入れてオリジナル要素は控えめにされている。
ブラック・ジャックを演じたのは本木雅弘さん。傷と肌の色が同じというリアリティある外見をしていて、原作のイメージよりもスタイリッシュなブラック・ジャックといった印象だった。
ピノコが双子など設定に違いはあれど、永作博美さんに柴咲コウさんに岸部一徳さんに松雪泰子さんにいかりや長介さんなどキャストは非常に豪華。ドクターキリコ役は森本レオさんで、草刈正雄さんとはひと味違う個性を見せつけた。
また、2作品目にはちょい役で佐藤二朗さんが出演しているが、これは堤監督が劇団員だった佐藤さんを直接スカウトしたのだとか。この出演をきっかけに佐藤さんは、役者としてのキャリアを開花させた。
■岡田将生主演、2011年放送のブラック・ジャック誕生秘話
最後は、2011年に日本テレビ系で放送された単発ドラマ『ヤング ブラック・ジャック』。同作は、ブラック・ジャックの医学生時代にフォーカスしている。『ヤングチャンピオン』にて田畑由秋さん脚本、大熊ゆうごさん作画の同名漫画が連載されていたが、ドラマとは関連性がない。
ピノコやドクターキリコも登場せず、彼の身に何が起こって闇医者へと転身していったかをオリジナルエピソードで綴られており、手塚さんの漫画とは設定も大きく違うが、これはこれで一つの作品として楽しめる内容となっている。ただ、後にドクターキリコになるであろうキャラクターは描かれていた。
若かりし頃のブラック・ジャックを演じたのは岡田将生さんだ。原作の「間黒男」は偽名の扱いになっており、「間時生」という名を名乗っている。顔の傷はやや濃いめになっているが、途中から増えてきた白髪など外見は比較的忠実に原作を再現していた。
大物俳優たちが主演を務めてきた実写版『ブラック・ジャック』。DVD化されておらず今はもう見られない作品もあるが、チャンスがあればぜひチェックしてみてほしい。