■『ドラクエ3』の「ギアガの大穴」と『ドラクエ6』の「幻の大地」

『ドラゴンクエスト』シリーズの「裏世界」といえば、多くの人が思い浮かべるのが『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の「ギアガの大穴」だろう。『ドラクエ3』の冒険の目的は、打倒バラモス。勇者はルイーダの酒場で仲間を集め、各地の魔物を打ち破り、魔王バラモスを倒す。

 バラモスを倒して平和が訪れる……とはならず、真の大魔王ゾーマが現れる。そのゾーマがいる世界はバラモス城の隣りにある「ギアガの大穴」を抜けた先にある。そして、この大穴に落ちると、そこが「闇の世界アレフガルド」だと教えられるのだ。

 新たなマップでは「ラダトーム」や「マイラ」「ドムドーラ」など、初代『ドラクエ』で登場した町が登場しており、『ドラクエ3』と初代『ドラクエ』が突如つながりを見せるという展開だった。

 ここへ来る前に「さいごのかぎ」を手に入れるための浅瀬の祠で、このギアガの大穴について「すべてのわざわいは そのおおあなより いづるものなり」というゾクっとするメッセージが聞ける。ファミコン時代のタイトルゆえ、特別なグラフィックによる突入演出が用意されているわけではない。だが、街のひとたちのセリフにより明らかになるバラモスがゾーマの手下だったという事実や、知っているはずのアレフガルドが「闇の世界」として真っ暗闇になっている演出など、あまりにも禍々しい雰囲気を漂わせる「裏世界」へのワクワク感は、十分だった。

 同じように「もうひとつの世界」がギミックに使われた代表的な作品が、1995年にスーパーファミコン用ソフトとして誕生した『ドラゴンクエストVI 幻の大地』。サブタイトルに「幻の大地」とあるように、2つの世界がテーマになっている作品だ。

 主人公は村祭りで使う冠を手に入れてほしいとお使いを頼まれる。その冠職人が大穴に落ちそうになった人を助けようとして、主人公が大穴から下の世界に落ちてしまう。なんとか元の世界に戻った主人公は、主人公が落ちた世界は「幻の大地」だと聞かされる。

 冒険の序盤も序盤で、もう一つの世界に行くことができ、物語に引き込まれるものがあった。さらには、下の世界では主人公の姿が見えないという謎がより好奇心を引き立てた。

 ところが、冒険を進めていくと、穴から落ちた先にある世界こそが「現実の世界」であり、さらなる謎がプレイヤーを襲う。全ての真相が判明したときに、さらに驚いた人も多いだろう。

『FF』『ドラクエ』という2大RPGの「もうひとつの世界」について紹介したが、『FFV』の第二世界だったり、『ドラゴンクエストⅤ』の魔界だったり、まだまだ紹介しきれていない。2024年2月に発売予定の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』では、ミッドガル脱出後の世界がどう描かれるのか、楽しみだ。

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