「携帯型ゲーム機といえば『ゲーム&ウオッチ』だ!」という人は、残念ながらほとんどいないだろう。しかし、筆者たち40代後半から50代の世代は、子どものころにファミコンがなかった時代でもあるので、この「ゲーム&ウオッチ」の登場には度肝を抜かれたものだ。
任天堂にとって初の携帯型ゲーム機なのだが、その名の通り“時計”と“ゲーム”が合体したもので、ゲームをしないときには時計として使える。(ほとんど時計は見ていなかったような気がする……)
そこで、当時は全盛期だったゲーム&ウオッチで、筆者が大好きだったゲームを紹介しよう。
■巨大タコって怖すぎ! 慎重と大胆さを身に付けた『オクトパス』
まずは、1981年に発売された『オクトパス』だ。「ゲーム&ウオッチといえば?」と聞かれたとき、おそらくこのゲームを思い出す人は多いだろう。筆者の周りでも流行っていたものだ。
海中に沈んだ財宝を手に入れるため潜水夫を操作するのだが、ここには巨大なタコがおり、触手で邪魔をしてくる。このタコがまたデカイ。一般的なタコって片手で頭をわし掴みにできそうなものだが、コイツは潜水夫の全身よりも頭が大きいのだ。“巨大オクトパス”って、もはやホラー映画だろう。
慎重に一歩ずつ進んでは引き返しての繰り返しになり、タイミングを見誤ると触手に捕まってしまう。財宝を取ったら取ったで船に戻らなくてはならないので、今度は逆パターンとなるのだ。
最初は難しかったな。ただ、得点が上がると潜水夫が増えたり、また、タコの触手の動きが速くなるので、これがまた熱中度を上げてくれたものだ。アクションゲームには慎重さと大胆さが必要だと思うのだが、それを最初に体感したのがこのゲームだったな。
■ほかにもあった労災まっしぐら? 降りかかる工具を避ける『ヘルメット』
次に、1981年に発売された『ヘルメット』だ。なんともシンプルなネーミングでセンスを感じる。「ヘルメット」という単語がゲームの名前になるなんて、ほかに類を見ないだろう。確か父親が買ってきたような気がする。
さて、このゲームは建設しているビルから隣の事務所に向かうだけというシンプルなもの。しかし、建設中のビルから工具が山ほど落下してくるのだ。スパナにドライバー、ペンチ、バケツ、ハンマーの5種類が無造作に落ちてくるので、これを避けて事務所に入らなければならない。事務所のドアは閉まっていると入れないので、開いたタイミングで駆け込む必要があるのが難しかった。
それにしてもなんて危ない現場なのか。これは修行か? と疑いたくなる。もちろん工具に当たるとミスとなるのだが、普通に考えると命がいくつあっても足りない。タイトルの「ヘルメット」をかぶっていてもミスですやん……。
とはいえ、当時は熱中したものだ。一気に駆け込もうとしたらドアが閉まってしまうこともあり、“一度止まるか、それとも進むか”という駆け引きに燃えたものだった。『オクトパス』もそうだが、シンプルでも速度が変わるのでやりがいもあり、何度も遊んだゲームだったな。