『ドンキーコングJR.』や『1943』も…意外に少なかった? ファミコン「白いパッケージ」のソフトは名作ぞろいだったの画像
ファミコンソフト『1943』(編集部撮影)

 1987年にファミコンで発売された国民的人気RPG『ファイナルファンタジー』。水色のタイトルがプリントされた“白いパッケージ”が、ゲーマーたちの目を惹いた。考えてみると、パッケージに“白”を採用したソフトは意外にも少ないように思う。そこで当時珍しかった、“白”を基調としたパッケージの作品たちについて見ていこう。

■あの超有名キャラが、まさかの悪役?『ドンキーコングJR.』

 ファミコンソフトは本体を発売した任天堂からも多くの作品が登場したが、なかでも“白いパッケージ”を採用していた一作といえば、1983年に発売された『ドンキーコングJR.』である。このソフトは任天堂を代表するタイトルのひとつ、『ドンキーコング』の続編にあたる一作だ。

 前作では、当時まだ無名だったキャラクター・マリオを操作し、さまざまな障害物を回避しながら宿敵・ドンキーコングを倒すアクションゲームだったが、本作ではそのドンキーコングの息子であるジュニアが主人公に抜擢されている。

 左右移動とジャンプなどシンプルな操作性はそのままに、はしご代わりに使うツルから別のツルへの移動や、ボーナスを得られるフルーツを下に落として敵を倒すなど、新たなアクション要素も追加。主人公が人間からゴリラになったことで、その世界観をうまく作品のプレイスタイルに落とし込んでいるのは大きな特徴だろう。

 そしてなにより、“マリオが敵役を務める作品”というのが面白い。本作のストーリーは、マリオに幽閉された親のドンキーコングを救うため、ジュニアが奮闘するという内容になっており、ステージ上段には檻に入れられたドンキーコングと、障害物をけしかけてくるマリオ……という異例の光景を目の当たりにすることができる。

 しかも本作ではじめてこの“マリオ”という名前が付けられたのだから、ある意味、任天堂の歴史に残る重要な一作と言えるだろう。鮮やかな“白いパッケージ”だけでなく、国民的人気キャラクターのルーツにも関わる貴重な作品だ。

■仕様変更によってまるで別物に? 『1943』

 ファミコンソフトにはアーケードゲームから移植された作品も多く、ゲームセンターで稼働していた作品を家庭で手軽に遊べる点は、当時のゲーマーたちにとって非常に魅力的だった。

 1988年にカプコンより発売された『1943』も、アーケードで人気を博した縦スクロールシューティング作品『1943 ミッドウェイ海戦』を、家庭用ゲームとして移植した一作である。

 プレイヤーは戦闘機を操作し、弾幕を掻い潜りながら敵機や艦隊を蹴散らしステージを進んでいく。爽快感溢れる銃撃戦と多彩な攻撃手段など、アーケード稼働時から縦スクロールシューティングとしての高い完成度が目を惹く一作だった。

 しかし、本作はファミコンに移植するにあたって、設定やシステム面に大きなアレンジを加えている。

 まず、アーケード版では“大日本帝国海軍”が敵だったのだが、本作では架空の国となっており、敵艦の名前も三国志の武将からとったものに変更された。

 また、自機をカスタマイズすることができるのも大きな特徴で、“攻撃力”や“防御力”はもちろん、“特殊武器”や“武器使用時間”といった細かなパラメータまで自身の好みにアレンジすることができる。

 加えて、ゲームオーバー時には専用のパスワードが表示され、これを入力することで撃墜されたステージから、そのときと同様のカスタマイズでゲームを再開できるようになったのも珍しい点だ。

 痒いところに手が届くようになった一方で、2Pプレイがなかったりなど大幅にテコ入れしている部分もあり、アーケードとは別物ともいえる作品に生まれ変わっている。“白いパッケージ”に描かれた戦闘機の勇ましい姿もインパクト大な、実に骨太な移植作と言えるだろう。

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