テレビ、動画サイト、漫画アプリ、あらゆるメディアにつきもののCM。広告を出稿するスポンサーがいるからこそ私たちはコンテンツを楽しめる。「世はまさに大CM時代!」といっても差し支えないだろう。
そんな時代でも注目してもらえるような、斬新なCMも年々増えてきている。ときにはアニメや漫画を題材にした、笑えるパロディ尽くしのCMがバズることもしばしばだ。
そこで今回は、公式が作った斬新すぎるパロディ系CMを紹介していこう。「あの商品がこの作品のパロディをしたの!?」と驚いていただければ幸いだ。
■「にんげんっていいな」パロディでゲームを宣伝!?『インフィニティ ストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
まずはスクウェア・エニックスが2023年9月に発売したアクションRPG『インフィニティ ストラッシュ ドラゴンクエスト ダイの大冒険』のCMを見ていこう。
本作は『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(監修:堀井雄二さん、原作:三条陸さん、作画:稲田浩司さん)のダイたちを操作しながら、本編のストーリーを追体験していけるゲームだ。
「なら美しいグラフィックや派手なバトルをアピールするはず」と思うだろう。だが実際に公式が用意したのは、懐かしのアニメ『まんが日本昔ばなし』(TBS系列)エンディング映像のパロディCM『にんげんっていいぞ』だった。な、なぜ……?
CMを見ると、『にんげんっていいな』のメロディとともにダイ、クロコダイン、ヒュンケル、バランが登場。その姿も『まんが日本昔ばなし』のエンディングでおなじみの子どもたちを模していて、なんだかノスタルジックだ。
CMでは、キャラたちが歌う「痛恨撃から会心撃へ」「死にそで死なない不死騎団長」といった替え歌など、『ダイの大冒険』ファンは笑わずにはいられないネタが満載だ。
ちなみに筆者のお気に入りは、バランが「でんでんでんぐりがえって」をまじめに歌うくだりだ。バランを演じる速水奨さんのとてもいい声と動画のギャップがすごい。ぜひ聞いてみてほしい。
■「世界名作劇場」なのにグロい…『バイオハザード RE:4』
次は、カプコンのサバイバルホラーゲーム『バイオハザード RE:4』だ。本作は2005年に発売された名作『バイオハザード4』のリメイク作品であり、当時からさらにグレードアップした映像美や新要素を楽しめる。
そんな本作のCMとして公式が送りだしたのは、『フランダースの犬』や『アルプスの少女ハイジ』などで知られる『世界名作劇場』(フジテレビほか)パロディである。
グロい化け物が名物の「バイオ」で『世界名作劇場』をやろうとしたその発想が、もはやホラーだ。
CMのタイトルは『バイオ名作劇場 ふしぎの村のレオン』。本編の主人公であるレオン・S・ケネディも敵の怪物たちも、『世界名作劇場』独特の作画にリファインされている。
本編通りにレオンが怪物の巣食う村で恐ろしい目にあうのだが、絵柄のせいでちっとも怖くない。村人に斧で頭を割られるなど、内容自体は本編さながらにグロいのに。
『ふしぎの村のレオン』は全3話の連作ショートアニメになっており、最終話はレオンたちが脱出するためのヘリが墜落して幕を閉じる。インターネット上ではジョークで「カプコンのヘリは必ず落ちる」と語られるが、まさか公式が自らネタにするとは。最初から最後まで自由なパロディCMである。