■“おひとり様”を極める女子のラブコメディー!『婚姻届に判を捺しただけですが』

 有生青春さんの『婚姻届に判を捺しただけですが』は、独身人生を楽しむ主人公・大加戸明葉と、こじらせた恋心を隠すため「偽装結婚」を申し込む百瀬柊の物語だ。

 出会ったばかりの明葉にプロポーズする柊。実は兄の妻・美晴に片思いしている柊は、その気持ちをカモフラージュするために“既婚者”の肩書きがほしかった。こうしていびつな形ではじまった2人のラブストーリーは、ムズムズするようなすれ違いを乗り越えながら、やがて本当の恋へと変化していく。

 “おひとり様”を極め、友人たちと楽しい人生を歩んでいる明葉。現代女性に近いマインドで生きる明葉が共感を呼び、坂口健太郎さんの演じる変人だけど憎めない柊と恋に落ちたいと願う声も多かった本作。

 本作でもヒロインを演じた清野さんは自身が演じた明葉について、「見習いたいなって思うくらい明葉に憧れる部分があります」と語っていた。前向きで一生懸命な明葉の姿は、多くの女性を勇気づけてくれたことだろう。

 自然体な姿が人気の清野さんと、独特の雰囲気を持つ坂口さん。2人のあいだで流れるあたたかい雰囲気が作品からも伝わってくるようだった。

 

 “出会いがない”ことが、社会問題にもなりつつある令和時代。借金の肩代わりや、出会ってすぐにプロポーズなど、漫画のような「偽装結婚」はなかなか現実ではありえない恋のはじまり方なのかもしれない。しかしそんな“ありえない”夢を見させてくれるのが、少女漫画の醍醐味でもある。ぜひ、秋の夜長にどっぷりと、これらの作品たちに浸ってみてはいかがだろうか。

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