1990年代の雑誌『りぼん』では、甘酸っぱい恋愛物語からシリアスなストーリーのものまで、いくつもの名作少女漫画が誕生した。主人公の恋愛模様だけでなく、そこに深く関わる脇役たちも魅力的で、彼ら彼女らのサブストーリーも気になったもの。
今回はそんな「脇役」にフォーカスし、幸せを掴んだカップルたちを振り返ってみようと思う。
■長年の片思いを実らせたマミリン
まずは矢沢あい氏の漫画『天使なんかじゃない』から、タキガワマン・瀧川秀一とマミリン・麻宮裕子を紹介したい。甘いマスクで女子を魅了するモテ男・タキガワマンは、中学の頃から後輩の原田志乃と付き合っていた。
一方のマミリンは、優しい性格ながらクールな才女。タキガワマンに5年も片思いしており、一度バレンタインに告白しているが志乃が邪魔をしたため気持ちは届かないまま高校生になっている。ただ、マミリンを人として尊敬していた志乃が涙ながらにバレンタインの事を懺悔したシーンは、胸が締め付けられるものだった。
志乃と別れた後、2人の心は急接近していく。印象的な場面といえば、体育倉庫で翠のネックレスを見つけた時のキスだ。この頃から、タキガワマンはマミリンへの恋心を自認していたのだろう。
「なんかもう… コントロールがきかない 好きだ…」と2人きりの部屋でマミリンに告白したページでは、「ついに……!」と気持ちが昂った読者も多いのではないだろうか。
■未央と彩子との女の友情も見どころ
吉住渉氏の漫画『ハンサムな彼女』からは、木村彩子&森本輝臣を紹介したい。女優の萩原未央を中心に、華やかな芸能界で繰り広げられる複雑な恋愛模様が見どころの同作。木村彩子は「沢木彩」という芸名で活躍するアイドルで、未央以上に売れっ子である。
それと同時に、彩子は未央の親友でもあった。しかし、未央と恋仲になっていく熊谷一哉の元カノで未練を持っていたり未央の初恋相手である人気アイドル・森本輝臣の想い人だったりと、未央の恋愛相手と何かしらの関係性を持つという複雑な存在だ。
輝臣は彩子に一度告白して振られているが、諦めずに彼女を想い続ける一途な男。彩子は一哉に失恋してから次第にその真剣な愛に惹かれるようになり、ついに結ばれる。ひたむきに1人を想い続けた輝臣の気持ちを考えると、胸が熱くなるカップリングだ。
■物語に欠かせない名脇役・神谷曜子の恋
池野恋氏の漫画『ときめきトゥナイト』からは、神谷曜子と風間力を紹介する。曜子は、頭脳明晰でパワフルな暴力団組織「神谷組」の1人娘。真壁俊に長い間片思いしていて、蘭世にとっては恋敵となる存在だ。
俊を巡って、蘭世と殴り合いの喧嘩をしている姿が印象的という読者も多いはず。想いは成就しなかったが、蘭世との間に生まれた友情は胸を打った。
報われない恋をした曜子だが、「風間組」の跡取り息子・風間力に見染められ求婚されてから人生は急展開。力のアプローチに負け、スピード婚へと突き進んだ。曜子ばりの情熱と一途さを持つ力とは、パワフルカップルとしてお似合いだったと思う。
新婚旅行中、力が偶然口にした呪文によって犬になってしまったことで犬嫌いの力に離婚されるというとんでもエピソードがあるのも曜子らしい。ちなみに力は離婚後も曜子を忘れられず、犬嫌いを克服し再プロポーズをしている。