■いくつものペンネームを使い分けていた!『ゲゲゲの鬼太郎』水木しげるさん
『ゲゲゲの鬼太郎』で知られている水木しげるさんは、“妖怪”という存在を世に広めた第一人者だ。実は水木さんは、出版社や作品ごとにペンネームを使い分けており、1冊のなかでペンネームを複数使っていたこともあったのだとか。
多数の出版社で使用されていた「東真一郎」をはじめ、戦記漫画を執筆するさいに使用していた「むらもてつ」「武取いさむ」「戦記屋三平」、そして短編やイラストなどを担当するときの「関谷すすむ」などその種類はさまざまだ。なかには本名の「武良茂(しげる)」がペンネームとして使用されることもあったという。
妖怪漫画だけでなく、科学ものや時代劇、忍者ものや少女漫画など、水木さんが手がけた作品はジャンルもバリエーションに富み、同一人物の作品だと聞くと驚いてしまう。
あらためて、水木さんの才能の奥深さを垣間見ることができるのではないだろうか。
■有名漫画家のペンネームをもじっていた!?『こち亀』秋本治さん
全201巻にもおよぶ長寿作品『こちら葛飾区亀有公園前派出所』で知られる秋本治さんは、「山止たつひこ」のペンネームでデビューしている。
1976年に本作を新人賞に応募したところ、入選。そのあと有名漫画家の山上たつひこさんをもじった「山止たつひこ」の名義で、『週刊少年ジャンプ』に掲載されることになった。同年にそのまま連載されることになったが、当初は誰もここまでの長寿作品になるとは思っていなかったようである。
本作の連載が終わったら本名の「秋本治」に変更してもいいという話だったそうだが、予想外に反響が大きく人気作へと成長していった『こち亀』。ついに山上さんからクレームが入ってしまい、ペンネームは連載の途中で変更される事態となった。
実際に「山止たつひこ」で販売されていたコミックスも「秋本治」名義に変更になったことから、いまでは「山止たつひこ」名義の単行本はレアものになっている……。
今回は、大物漫画家が別名義だったという意外な過去をご紹介してきた。
そのほかにも『DEATH NOTE』の原作者として知られている大場つぐみさんは、新人としてデビューしたものの、隠しきれない“大物感”から、正体は大物作家ではないかという疑惑もあるようだ。そう思うと、世に明かされていない“別名義”もまだまだあるのかもしれない……。