『金田一少年の事件簿』かわいそう…「勘違い」や「歪んだ愛」理不尽すぎる理由で犯人に狙われた“胸糞事件”を振り返るの画像
週刊少年マガジンコミックス『金田一少年の事件簿 File16 黒死蝶殺人事件』(講談社)

 1992年に連載開始されてから、形を変えながら連載が続いているミステリー漫画『金田一少年の事件簿』。犯行に使用されたトリック、そしてそれを解き明かすドラマチックな展開が魅力だが、犯人たちの殺害の動機も多くの読者を惹きつける魅力のひとつ。どの被害者たちも酷たらしい最期を迎えているが、中には犯人側に感情移入をしてしまうような悲しすぎる過去を背負ったキャラも多い。

 しかしその中でも犯人の理不尽な動機や、犯人の勘違いが原因で、命を奪われてしまった被害者がいることはご存じだろうか。今回は『金田一少年の事件簿』の中から、犯人に殺害された理由が理不尽すぎた、かわいそうな被害者たちを紹介する。

※以下には漫画『金田一少年の事件簿』の一部内容に触れています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、気になる方はご注意ください。

■“勘違い”で被害にあった班目姉妹

 まずこのテーマの話題でファンの間で筆頭にあがるのが「黒死蝶殺人事件」。「不死蝶」を名乗る殺人鬼に無惨な形で殺されてしまった班目家の長女・舘羽と三女・るりの2人だ。

 特に、わずか12歳にして殺害されたるりは『金田一少年の事件簿』史上最年少の被害者でもある。また、姉の舘羽にしてみてもまだ22歳で、彼女は結婚間近であり幸せの絶頂にあった。まさか幼い妹もろとも殺されるなどとは夢にも思わなかっただろう。

 彼女たちのかわいそうなところは、他の事件とは違って2人が殺害されるほどの恨み買っていたわけではなく、犯人による「勘違い」だったこと。犯人もまたかわいそうな人生を歩んだ人物ではあるが、何の罪もない2人を殺害したことは到底許されることではない。そのうえ、るりにおいては、母・緑が父・紫紋(本当の父親ではない)から受けるひどい仕打ちに心を痛めており、普段から幸せとはいえない状況だった。

■復習に取り憑かれた姉の勘違いによって被害にあった文月花蓮

「異人館ホテル殺人事件」に登場する女優・文月花蓮もまた、かわいそうな被害者の一人だ。

 彼女には、幼いころに生き別れになった双子の姉がいた。しかし、あるとき突然訪れた姉は、殺人者となっていた。匿いながら自首を勧めるも、タイミング悪く警察が来訪。姉は花蓮が警察に通報したと思い込んだまま、逃亡してしまう。

 その後、花蓮は「自分がデザインした衣装を着た姉が女優として舞台に立つ」という幼いころに姉と話した夢を心の糧に、女優とデザイナーという、ハードな二重生活を続けていた。それは、いつか姉が帰ってきたときに居場所を作り、2人の夢を叶えるためでもあった。

 しかし、花蓮の健気な想いが姉に届くことはないまま、彼女は復讐に取りつかれた姉に殺害されてしまう。

 犯行はすべて犯人である姉の、花蓮に対する「勘違い」が原因だ。最後に、花蓮が女優をしていた理由を知った犯人が涙を流すシーンがあるが、同情の余地はない。

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