名作ベルトゲームの『くにおくん』シリーズや、ガンダム、仮面ライダー、ウルトラマンといったヒーローが一堂に会する『コンパチ』シリーズ。どちらもアクションゲームの名作だが、『熱血高校ドッジボール部』に『熱血高校ドッジボール部 サッカー編』、『バトルドッジボール 闘球大激突!』に『バトルベースボール』などなど、そのメンツがスポーツをすると、とんでもない必殺技が飛び出すことになる。
こうしたゲームは上記シリーズ以外にも様々あり、スポーツゲームの本流にはならないものの、ファミコン時代から現在に至るまで脈々と新作が作られ続けており、意外な名作も多い。今回はスポーツの秋にちなみ、必殺技を盛り込んだ一風変わったスポーツゲームをいくつかピックアップしてみよう。
■打球で野手をK.O『超人ウルトラベースボール』
まずは1989年にカルチャーブレーンから発売されたファミコン用野球ゲーム『超人ウルトラベースボール』。
パッと見の試合場面は、『ファミスタ』のようなバッターを手前としたオーソドックスな野球ゲームだが、本作には『巨人の星』や『アストロ球団』さながらの必殺技が採用されている。
もはや定番の「消える魔球」をはじめとして、普通にバットで打つとバットがへし折られてしまうほど重い「アイアンボール」、200km/h超えの豪速球「ライトニングボール」と、強力な必殺投法が楽しめる。
またこうした必殺技は投手だけでなく、打者や野手にも用意されている。たとえば折れたバットの破片がボールを守り、捕ろうとした野手をK.Oしてしまう「流星打法」や、バウンドするたびにランダムに軌道が変わる「イレギュラー打法」、打ち損じたボールが地面についた途端に強烈な地響きを起こす「大地震打法」などさまざま。
そういった強力な必殺打法を対策すべく、バッティング必殺技を捕ることができる「ミラクルキャッチ」や、ホームランボールを空高く舞って捕れる「ロケットジャンプ」など、野手の必殺技も多彩だ。
バットを振らないことでデッドボールにしたり、バントをすることで必殺技を発動させない。必殺技を無効にする必殺技を使い、普通程度の効果に抑えるといった、必殺技対策があるのも面白い。
そんな『超人ウルトラベースボール』の強力な必殺技だが、これらを選択する際には画面上には次に何を使用するか、アイコンが表示される仕組み。相手にとってはバレバレだが、高らかに必殺技名を叫んで使っているようにも思え、これはこれで漫画的で面白い。必殺技の様式美と言えよう。
■巨大カヌーや爆発シュート『爆裂サッカー』
続いては、“次世代機”初代プレイステーションで発売された『爆裂サッカー』。2002年に日本と韓国で開催されたワールドカップの直後にテクモより発売された本作は、前年にヒットしたチャウ・シンチー監督の香港映画『少林サッカー』さながらに必殺技が飛び出す、サッカーエンターテインメントゲームである。
ビジュアルは、プレイステーションでは標準的なちょっと粗めな3D。基本システムは『ウイニングイレブン』シリーズのような、オーソドックスなサッカーゲームだ。しかし、それに必殺技が加わると、途端に破天荒になる。
ボールに炎をまとわせ、キーパーを吹き飛ばす威力のある必殺シュートや、バリアをまとってボールを保護する必殺ドリブル。それに対抗するように、選手を弾き飛ばして相手のゴールに球を入れる必殺スローイングや、必殺シュートを受け止める必殺セービングもあり、キーパーも派手である。
コートを封鎖するほど巨大なガレー船を召喚して壁とするデンマークの必殺技や、後ろにフランス国旗の残像をまといながらのドリブルなど、ご当地色の強い必殺技もあって、ビジュアル的にも面白い。
こういったおバカな要素が強めな『爆裂サッカー』だが、ゲームのバランスは意外と良い、良作ゲームである。