■生まれつき備わった“体毛”のまさかの使い方…『ハイスクール!奇面組』冷越豪

 これまでは鍛え上げた技術によって“水上”を走ったキャラクターを見てきたが、ここで生まれつきの意外な特性を使って水上歩行を実現した人物を紹介しよう。

 1980年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された新沢基栄氏の『ハイスクール!奇面組』で、“奇面組”の一人として活躍する冷越豪だ。

 角刈りにも似たヘアスタイルと、太く歪んだ眉毛が特徴的な男子生徒で、“まなこの豪”の二つ名でも知られている彼。口が悪く、短気なことから非常に喧嘩っ早い一面を持っており、酒屋の息子ということから酒が絡むエピソードも多く、未成年でありながら一升瓶をラッパ飲みするシーンも珍しくはない。

 酒を飲むことでオリジナルの拳法まで使いこなす彼だが、一方で臆病かつせこい一面もあったりと、なにかと癖の強いキャラクターだ。

 そんな冷越だが、その“体毛”の濃さも忘れてはいけない特徴の一つだろう。胸をはじめ、腋、二の腕、脛など至るところにおびただしい量の毛が生えているのだが、それゆえにある人間離れした特性を持っているのだ。なんと冷越は足の裏の体毛から出た“油”を用い、表面張力を発生させることによって、水の上を自由自在に移動することができるのである。

 要は、“アメンボ”と同じ原理なのだが、それを人間が体毛の力だけでやっているというのだから、驚いてしまう。ギャグテイストな作品ではあるものの、それにしても奇抜かつ独特な方法で“水上”を歩いてみせたキャラクターだ。

 

 現実世界では虫や特殊な生物でないと成し遂げられない水上歩行だが、漫画のキャラクターたちはあの手この手で水の上を自在に移動してみせる。

 鍛え上げた脚力で、身につけた秘技で、生まれつきの肉体で……彼らが水上を駆けるその姿を、ぜひご自身の目で確かめてみてほしい。

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