9月24日に放映された『王様戦隊キングオージャー』の第30話で、俳優・天野浩成さんが演じる宇蟲五道化の5人目グローディ・ロイコディウムが登場し、X(旧ツイッター)を中心に大きな話題となった。
天野さんといえば『仮面ライダー剣』の仮面ライダーギャレン(橘朔也)、『仮面ライダーフォーゼ』の敵幹部リブラ・ゾディアーツ(速水公平)などを担当した俳優。妻である雛形あきこさんも7月公開の『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』で先代トウフ女王殿・イロキ役を演じており、奇しくも同じ作品で夫婦で悪役として登場することになった。
他にもラクレス・ハスティー役に矢野聖人さん、映画版ゲストキャラとしてライニオール役に中村獅童さんなど、『キングオージャー』では、謎めいた言動のイケメン悪役たちが作品を盛り上げている。
およそ48年に渡る「スーパー戦隊シリーズ」をふり返ってみても、色褪せることのない魅力を持つ悪役たちが数多く登場していた。そこで今回は、多くのファンを虜にした「イケメンすぎた戦隊モノの悪役」を紹介したいと思う。
■弟思いのやさしい兄貴が強さを求めたその先は?…スコルピオ
最初は『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)からスコルピオを紹介。久保田悠来さんが演じるスコルピオは、宇宙幕府ジャークマターのカロー(幹部)であり、キュウレンジャーの一人であるサソリオレンジことスティンガーの実兄。スティンガーによると昔の彼は弟思いのやさしい兄であったが、ジャークマターの軍門にくだり、一族滅亡に加担した裏切り者となった。
そんなスコルピオは銀河系最強と名高いサソリ座系(惑星ニードル)出身のヒューマノイドタイプの宇宙人で、弟同様にサソリの尻尾を持つ。人間態のときはウェービーヘアーに小ぶりの三つ編みをたらしたイケメンだったが、ドン・アルマゲに忠誠を誓い力を授かったことで異形の怪人態へと変貌。最強の殺し屋となったスコルピオは、強さのみを求め続けた結果、最初の想いとは裏腹に深い闇へと堕ちていく。
スコルピオ役の久保田さんは『仮面ライダー鎧武/ガイム』(2013年)でも弟思いの兄・呉島貴虎を演じている。2017年7月9日には自身のツイッターで「毒悪なので新鮮で楽しく演じられた故に僕自身スコロス(※スコルピオ・ロス)です。」と語り、哀しい最期に涙したファンを喜ばせた。
■斬り合いだけがこの世の真実と語るはぐれ外道…腑破十臓
『侍戦隊シンケンジャー』(2009年)は今夏TBSで放送され話題となったテレビドラマ『VIVANT』でも活躍した松坂桃李さんの初主演作。そんな松坂さん演じるシンケンレッド(志葉丈瑠)に真っ向勝負を挑んだのが、外道衆幹部の“はぐれ外道”こと腑破十臓という敵キャラクターだった。
人間態での十臓はボサボサ頭に無精ヒゲ、白いボロボロの上着をまとった壮年男性。妖刀・裏正を手に、命がけの戦いの中に喜びを見い出す彼は、もとは200年ほど前に生きていた武士。不治の病に侵され、「余命わずかで何ができる?」と考えた結果、妻の制止を振り切り人を斬り続けたことで「外道」に堕ちてしまう。裏正が妻の魂で作られたことにも気付いており、最期はその裏正に外道となった自身を止められる、悲しい運命を背負ったキャラクターだった。
腑破十臓を演じた唐橋充さんは『仮面ライダー555』(2003年)のスネークオルフェノク(海堂直也)を担当した際、キャストコラムで発表した「カラハシシンブン」で絵の上手さが評価されイラストレーターとしても活躍。妻は女優の水野美紀さんで、近年ではバラエティ番組などでほのぼのとした夫婦生活を語っている。