「ぼくたちの映画シリーズ」は、東映×フジテレビジョン映画部によって1990年代に制作された短編映画作品集だ。「ボクたちのドラマシリーズ」がヒットしたことをうけ、毎年2作品の抱き合わせという形で公開された。
ドラマシリーズの特徴といえば、当時人気があったアイドルを主人公に起用した華やかなキャスト陣。一方で、映画シリーズでは新進気鋭の女優やタレントを起用するようになった。今回は、「ぼくたちの映画シリーズ」で漫画やゲームの実写化に挑戦した女優たちを振り返っていく。
■初実写化『花より男子』内田有紀
「ぼくたちの映画シリーズ」第1作となったのが、1992年から『マーガレット』で連載された神尾葉子さんの人気漫画を初めて実写化した映画『花より男子』。井上真央さんや松本潤さんが出演した2005年放送のテレビドラマ版が印象に残っているという人も多いが、実写化の『花男』は1995年に公開された本作が初代になる。
主人公の牧野つくしを演じたのは、同作が初主演映画となった内田有紀さん。原作のつくしは髪が長いが、内田さんはトレードマークでもあるショートヘアで挑んだ。また、原作は高校が舞台だが、同作は大学生の物語となっている。
F4を演じた俳優も花沢類=藤木直人さん、道明寺司=谷原章介さんと豪華だ。2人は同作が俳優デビュー作なので、初々しい演技も眩しかった。90年代はギラギラした衣装が多く、谷原さん演じる道明寺も裸にジャケットや裸にベストなど今見返すと驚く奇抜なファッションをしている。
ちなみに、つくしをいじめる女子グループ「リリーズ」メンバーの1人として藤原紀香さんも出演。今振り返るとあまりにも豪華なメンバーだ。
■連ドラ化の大ヒット作『白鳥麗子でございます!』松雪泰子
『花より男子』と併映されたのが、鈴木由美子さんによる漫画を原作とした映画『白鳥麗子でございます!』だ。同作は1989年にTBS系列で鈴木保奈美さん主演でもドラマ化されているが、1993年にスタートした松雪泰子さん主演のドラマシリーズが大ヒット。
「オーホッホッホッホッ」というベタな笑い方、高飛車な態度、破天荒な行動など、「白鳥麗子」はぶっ飛んだお嬢様の代表格ともいえるキャラで、上品な顔立ちの松雪さんがドラマでは見事に麗子役を演じていた。萩原聖人さん扮する秋本哲也への健気で一途な姿なども好感を集め、ドラマの人気を受けて映画化。
映画版の『白鳥麗子でございます!』は、「ボクたちのドラマシリーズ」で放映された連ドラから発展したストーリーとなっていて、麗子と哲也の結婚式から物語が始まる。ちなみに、2016年には河北麻友子さん主演でリメイクもされた。
■ドタバタトラブルコメディ『友子の場合』ともさかりえ
藤野美奈子さんの漫画を原作とした『友子の場合』は、「ぼくたちの映画シリーズ」第2弾として1996年に公開された。1995年に2度に渡って『世にも奇妙な物語』でドラマ化されており、映画はそのスピンオフ作品となる。
主人公の女子高生・田村友子を演じたのはともさかりえさんで、同作が映画初主演となった。同作は、友子のどこまでもついていない日常をコミカルに描いたコメディである。ドラマ版は学校生活の様子が描かれていたが、映画版はさらに規模が広がり友人との旅行が舞台となった。
とはいえ、規模が広がっても友子の身にとんでもないトラブルが起こることは変わらない。むしろ映画版はバージョンアップしていて、駅弁を買いに行ったことを発端に次から次へと「そんなことになる?」というような災難が降りかかる。
また、『友子の場合』はブレイク前の仲間由紀恵さんや高橋一生さん、新山千春さんなどの初々しい演技を見ることができる貴重な映画でもあるのだ。ちなみに、併映は『That′s カンニング! 史上最大の作戦?』。こちらは漫画原作ではないので割愛するが、若かりし頃の安室奈美恵さんが初出演を務めた映画。気になる方はチェックしてはいかがだろうか。