『姫ちゃんのリボン』『神風怪盗ジャンヌ』『りりかSOS』意外と多かった90年代『りぼん』漫画原作の変身少女アニメたちの画像
「特別展 りぼん」公式ビジュアル

 テレビアニメが人気となった『魔法使いサリー』に『ひみつのアッコちゃん』、そして『美少女戦士セーラームーン』に『プリキュア』シリーズまで、昭和の時代から現在まで女の子たちを夢中にさせてきた変身ヒロインたち。

 今回はそんな変身少女もの作品の中から『りぼん』漫画に注目。90年代に雑誌『りぼん』に連載され、アニメが大人気となった少女漫画を振り返ってみようと思う。

■他人に変身できる真っ赤なリボン『姫ちゃんのリボン』

 まずは1990年に連載がスタートした「いけいけゴーゴーッ!じゃーんぷっ」でおなじみ、水沢めぐみさんによる漫画『姫ちゃんのリボン』から。

 主人公の野々原姫子はある日、魔法の国の王女・エリカから「パラレルパラレル○○になーれ!」と唱えることで他人に変身できる真っ赤な魔法のリボンを受けとる。さらにぬいぐるみのポコ太とも話せるようになり、魔法の力を借りながら様々な問題を乗り越え成長を遂げていくというストーリーで、1992年からはテレビ東京系でテレビアニメ化された。

 姫子と恋仲になっていく男の子は小林大地。年頃の男の子らしいクールな性格ながらも何かと助けてくれたりと根が優しく、大地のような男子に憧れていたという女子も多かった。

『姫ちゃんのリボン』には、「誰かに変身してみたい」という人の持つ変身願望や「魔法の力は隠さないといけない」というスリル、淡くてピュアな恋愛模様など、様々な魅力がある。カラッと爽やかな雰囲気も受け、『りぼん』でもトップクラスの人気を誇った。  

■カエルの国のお姫様の大冒険!『ケロケロちゃいむ』

 続いては1995年から連載が始まった藤田まぐろさんによる『ケロケロちゃいむ』。登場するカエルたちがみな、体の半分ほどある大きな目を持つ可愛いフォルムで描かれていたのが印象的である。

 主人公は、かえるの国のプリンセス・ミモリ。兄のマカエルによって水をかぶるとカエルに変身する魔法にかけられた人間の男の子・アオイを救うために、ともに旅に出るというストーリーで、こちらも1997年からテレビ東京系でアニメ化。18時の枠で放送されたため、放課後に見ていたという人も多いはず。

 ミモリは元気いっぱいでピュアな女の子だ。そんな彼女に触れ、頑固で気が強いアオイもそんなミモリに心を開いていく。へび族との因縁を始め困難が多々訪れるが、アオイは次第にプリンセスを守るナイトのような役割を果たしていった。

 同作における「変身」の要素といえばカエルになるということだけだが、それがターニングポイントで重要な鍵を握ったりもする。コミックスは全5巻と短いが、2人の恋や冒険のドキドキ感がうまく混ざりあい、最後まで目が離せない作品だった。

■強気に本気!無敵に素敵!もひとつおまけに元気に勇気!『神風怪盗ジャンヌ』

 次に紹介するのは、1998年から連載が始まった種村有菜さんの漫画『神風怪盗ジャンヌ』だ。1999年からテレビ朝日系でアニメ化もされた同作は、『りぼん』の変身ヒロインものの中では珍しく、「女の子がアイテムを使って戦士になる」というオーソドックスなスタイル。天使の羽とバラとロザリオが印象的なアニメ2期の変身シーンは、特に美しかった。

 主人公の女子高生の日下部まろんは、ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりで神から受け継ぐ力を持つ。準天使フィン・フィッシュのサポートを受けて怪盗ジャンヌに変身して、悪魔の手先と戦っていく。ポジティブでたくましく優しい彼女は、まさに女子の憧れる「変身ヒロイン」そのものだったように思う。

『神風怪盗ジャンヌ』はただヒロインが悪と戦うだけでなく、まろんの気高さの裏に潜む、孤独や寂しさといったネガティブ面も描かれていた作品。さらに作中では心に響く前向きなメッセージもいたるところで発せられているので、大人になって見返すと色々と気づきを得られるかもしれない。

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