スクウェア・エニックス合併20周年!『FF』『サガ』だけじゃない「スクウェア」時代の名作&珍作たち! RPG史上類を見ない攻撃をする敵も…の画像
画像はファミコン用ゲーム『スクウェアのトム・ソーヤ』(編集部撮影)
全ての写真を見る

 2003年4月1日にゲームメーカーのスクウェアとエニックスの両社が合併。スクウェア・エニックスが誕生し今年で20周年を迎えた。1999年のPS用アクションRPG『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』のHDリマスター版が2021年に発売され、また2022年には1994年のスーパーファミコン用RPG『ライブアライブ』がHD-2Dグラフィックで蘇るなど、「スクウェア」時代の名作のリメイク・リマスターが続いている。

ファイナルファンタジー』シリーズや『サガ』シリーズなど、数々の名作を生み出した旧スクウェア。今回はその作品群の中でも、特にクセが強い珍作と名作を兼ね備えた作品を紹介しよう。

■前代未聞の敵登場「スクウェアのトム・ソーヤ」

 まずは、世界的に有名な小説『トム・ソーヤーの冒険』を基にしたファミコン用RPG『スクウェアのトム・ソーヤ』(1989年)だ。少年の冒険活劇である『トム・ソーヤーの冒険』を、原作をリスペクトしつつも強引に日本的なターン制RPGに置き換えたという様子の珍作である。

 全体的にはオーソドックスなRPGのもので戦闘画面では、どの味方キャラもファイティングポーズを取っている。そしてその絵面の通り、敵と殴る蹴るの攻防を繰り広げる。キャラはポップなデザインで、HPがゼロになったときも死や気絶といった表現ではなく「こて…」と足を逆さまにしてぶっ倒れているグラフィックで、何ともかわいらしい雰囲気が漂っている。

 ゴルゴ13のような顔をした花の敵がいたりと、細部に尖った要素が詰まっている本作だが、RPGの歴史の中でも非常に珍しい攻撃をしてくるのが「ふこうむし」なる敵。彼はクワガタ型の小さい敵で、いっさい攻撃をしてこない代わりに「おそ~かな やめよかな…」と何やら逡巡している。そして長らく戦っていると、突如「ふこうむしは ボタンをおした!」「それはリセットボタンだった!」とメッセージが表示され、本当にセーブ地点からやり直しとなってしまうリセット攻撃をしてくる。一般的なRPGに見えて、戦闘面においては、全体的になかなかにシュールな作品だった。

 音楽やグラフィックは『トム・ソーヤーの冒険』をベースに、アメリカ中西部の世界観が楽しめる作り。画面下部を、コマンドや会話などの、文字を映す黒画面としているのが独特だが、黒背景に浮かぶ横長の画面が、どこか映画館を思い起こさせて、こちらも良い雰囲気を感じられる作りとなっている。

■海外版FF「ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト」

 続いては1993年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト』。タイトルに唐突に「USA」がついたり、ケアルで倒せるラスボスがいたり、ヒロインがやたらと絶望したりと、こちらも珍作要素が強めである。

 戦闘画面は通常の自キャラが背面を、モンスターが正面を向いているという、縦に向き合うグラフィック。魔法は回数制で、シンボルエンカウント制を採用と、ゲーム内容は『ファイナルファンタジー』シリーズというよりは『サガ』シリーズに近いシステムである。

 それもそのはず、本作の開発元が『時空の覇者 サ・ガ3』と同じスクウェア大阪なのである。スクウェア大阪がアメリカ向けに作った『ファイナルファンタジー』が『Final Fantasy Mystic Quest』(1992年)で、その翌年に日本で発売された本作はその翻訳版という位置づけとなる。タイトルのUSAの由来である。

『ファイナルファンタジー』シリーズとしては異色であるものの、コミカル寄りの敵グラフィックや、易しめの難易度、BGMの良さから、ナンバリング『ファイナルファンタジー』とは別の、外伝的な『ファイナルファンタジー』として楽しめる名作である。

  1. 1
  2. 2