『エキサイティングボクシング』や『トップライダー』も…全身を使って遊んだ“体感型ファミコンゲーム”3選の画像
ファンコンソフト『スーパーもぐらたたき ぽっくんモグラー』(アイ・ジー・エス)

 1987年にバンダイ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売された『ファミトレ大運動会』は、マットコントローラーを使用しさまざまな競技を体感できることが話題を呼んだ。しかし、本作以外にも全身を使って遊べるソフトは多数発売されている。時代を先取りした、“体感型ファミコンゲーム”の数々について見ていこう。

■ボタンに頼らず直接その手でぶん殴れ!『エキサイティングボクシング』

 1987年にコナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)より発売された『エキサイティングボクシング』は、タイトル通りボクシングを題材としたスポーツゲームだ。

 ゲーム内容自体は実にシンプルで、階級ごとに登場するボクサーを倒し、夢の7階級制覇を目指す……というもの。フライ級からヘビー級まで、立ちはだかる強敵たちを打ち倒すことができれば、エンディングへと辿りつくことができる。

 これだけだとよくあるボクシングゲームなのだが、最大の特徴はやはり実際に体を動かしてボクシングを体感できるという点だろう。

 本作では空気で膨らませるエアーバッグ型の専用コントローラーを使い、実際に対戦相手を殴ることでダメージを与えることができる。エアーバッグ自体にもボクサーのイラストが描かれており、内部に搭載された圧力センサーがさまざまな角度からの衝撃を感知し、ゲーム内で対応したパンチを繰り出すことができるのだ。

 左右のジャブやフック、ストレートパンチはもちろん、ボディへの打ち分けも可能。いままでのようにコントローラーのボタンでパンチを放つのではなく、直接自身の手で相手を殴る感覚は実に直感的だ。

 ゲームにはエアーバッグ型専用コントローラーと、それを膨らませるためのポンプ、そして補修パッチまで同梱されており、なかなかボリューミーである。

 多種多様な体験型ゲームが発売されるなかで、殴る相手そのものをコントローラーにしてしまうというのは、なかなか斬新な取り組みではないだろうか。臨場感たっぷりな仕掛けがプレイヤーの闘争本能を刺激する、なんとも画期的なボクシングゲームである。

■クッションにまたがり操作する臨場感『トップライダー』

 先述の一作のように、当時はゲームの世界観を体験させるため、意外なものをコントローラーとして取り入れた作品が多かった。1988年にバリエから発売された『トップライダー』も、実に独特な専用コントローラーを採用した一作だ。

 本作はバイクをテーマとしたレーシングゲームなのだが、カセットには「トップライダー ハードウェアバイク」と呼ばれる専用コントローラーが付属されている。なんとこれ、実際のバイクの形に近づけた大型の風船型コントローラーなのだ。

 許容重量は60kgということで、子どもはもちろん、大人でも小柄だったらなんとか乗ることができるかもしれない。本作は当時「レースを体感できる、超リアルゲーム」というキャッチコピーを打ち出していたのだが、それを実現するのがこの風船コントローラーだったというわけである。

 実際にこの風船型バイクにまたがり、手元のハンドル型コントローラーを操作することで、画面上のバイクがコーナリングを行うという仕組みだ。

 うまく操作すればウィリーのような派手な演出も飛び出すので、没入感は見た目以上と言えるだろう。

 ちなみにこの専用コントローラーだが、キリンやYAMAHAといった大手企業とのコラボレーション品も存在し、それらは希少価値も高いことから凄まじいプレミア値となっている。いずれにせよ、バイクにまたがりハイスピードなレースが楽しめるのは、まだ免許を持っていない子どもたちからすれば、夢のような体験だったのかもしれない。

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