(2ページ目) 『はいからさんが通る』や『ベルサイユのばら』にも…70年代名作少女漫画に登場した“脇役で成立したカップル”たち

■自分が本当に幸せになれる相手とは？一条ゆかり『デザイナー』明＆アリサ

　１９７４年から少女漫画雑誌『りぼん』に掲載された一条ゆかり氏の『デザイナー』は、華やかなファッションの世界を舞台に描いた作品だ。

　主人公は人気モデルの美少女・亜美。不慮の事故をきっかけにデザイナーに転身して頂点を目指すが、その道のりには母親への復讐や許されない愛という結末が待っていた。

　そんな亜美に恋するのが、プレイボーイであるカメラマン・土屋明だ。しかしどれだけ亜美にアプローチしてもその思いは届くことがない。そんな明を亜美のモデル仲間である葉山アリサは一途に慕っていた。

　ある日、明は亜美に振られたあと、その寂しさからアリサと関係を持ってしまう。そして、妊娠……。明の気持ちは亜美にあることを知っているため身を引こうとするアリサだったが、明は最終的に責任を取り、彼女と人生を歩む決断をする。

　明とアリサは、激しい恋愛の末に結ばれたカップルではない。しかし明が暗い影のある亜美とくっついても幸せになれるような予兆もなかったし、むしろ優しいアリサと歩む決断をしたことにホッとした読者も多かっただろう。

　“自分が幸せになれる相手は愛した人とは限らない”、明とアリサの関係にはそんなメッセージが読み取れる。

　少女漫画はヒロインの恋愛に注目されがちだが、そのヒロインを支えた親友やライバルたちの恋愛が成就することもある。とくにヒロインがハッピーエンドを迎えたあと、脇役たちも幸せな結末を迎えると、幸せは倍増するだろう。

　普段はあまり注目されない少女漫画の脇役たち、彼ら彼女たちの恋愛模様にも注目して少女漫画を読み進めてみるのも面白そうだ。