■美しい花魁たちに釘づけ!『さくらん』粧ひ役:菅野美穂さん
土屋アンナさんが主演をつとめた『さくらん』は、安野モヨコさんの漫画を実写化した作品で、江戸を舞台に吉原で生きる花魁たちの姿を描いている。
メガホンを取ったのは前述した蜷川実花監督で、彼女にとって初の映画監督作品となった本作。当時から蜷川作品の特徴とも言える鮮やかな色づかいが美しく、花魁たちの艶やかな姿を魅力的に演出していた。
主演の土屋さんの演技も素晴らしいのだが、今回は主人公・きよ葉に花魁としての生き方を教えた花魁・粧ひ役を演じた菅野美穂さんをご紹介したい。
粧ひは美人だけど性悪で、きよ葉は彼女のことを嫌っていた。しかし、先輩花魁としてきよ葉に大切なことを教えてくれたのも彼女だ。客から人気が高い粧ひが肩をはだけさせこちらを振り向く姿は、同じ女性から見てもドキリとするほどの色気を感じた。
少女のようなあどけなさと大人の色香をあわせ持つ菅野さんにしかできない役だったのではないだろうかと思う。
原作の漫画に登場するキャラクターを再現するため、色っぽい演技を見せてくれた女優たち。普段の姿からは想像できない一味違った魅力を見せた彼女たちの表現力の高さには、とにかく驚かされるばかりだ。
何者にも染まることができ、自身の持つ“すべて”を役に落とし込んで演じた彼女たちの姿に、釘づけになったのは筆者だけではないだろう。