■野球はとにかく目立って勝負! 2人の少年が活躍する青春野球漫画『ジャストミート』
『週刊少年サンデー』で1984年30号から1987年30号まで連載されていたのが、原秀則さんの『ジャストミート』だ。目立ちたがりのピッチャー・橘二三矢とセンターの坂本天馬が、とにかく“目立つこと”を考えながら甲子園を目指すという物語。
二三矢はフォークが決め球。一方の天馬は俊足を生かし、守備範囲の広いセンターを守っている。とはいえ、主人公側が自己中心的な目立ちたがり屋というのもなかなか困ったもの。同じサンデーの『タッチ』(あだち充さん)上杉和也を見習ってほしいところだ。
しかも天馬の髪型はちょっと凄い。すでに目立っており、帽子から飛び出た前髪で完全に片目が見えていないだろう……って打者にはハンデだと思うが。ハッキリ言って『巨人の星』(原作:梶原一騎さん・作画:川崎のぼるさん)に登場する花形満よりも尖った長髪だ。
この作品は徐々にシリアスな野球漫画になっていくのだが、自己中心的な性格もチームとして機能すれば、一丸となって強いチームワークになる点が少年野球をしていた筆者にもとって面白く感じたな。
■拳法家になれそうな気がした! 少年の成長に自分を重ねてしまう『拳児』
『週刊少年サンデー』で1988年2・3合併号から1992年5号まで連載されていたのが『拳児』(原作:松田隆智さん・作画:藤原芳秀さん)だ。中国武術をテーマに扱っており、小学生から中学生、高校生と己の鍛錬から成長を重ねていく物語。(隠れた名作ではなく有名だ!というファンもいるだろうが、“連載5年以内”としているのでここに入れたい)
さて、主人公の剛拳児は幼少期から祖父より八極拳を学んでおり、困っている人を助けたりもする反面、ちょっと目立ちたがりなやんちゃな小学生であった。中学時代の抗争がきっかけで進学先が不良高校となってしまい、これまた無期停学処分を受けてしまう始末。まあ、ライバル的存在である拳法の使い手であるトニー・譚のせいでもあるのだが……。
この作品は、拳児が成長する過程と武術の解説が面白い。かなりリアルに描かれているので、自分でもできそうな気がして拳法家の気分になれたものだ。ちょうど筆者も中高生だったので、拳児の成長に自分を重ねたりもしたな。
ここで紹介した4作品は人によって「有名な作品」と言う人もいるだろうし、「もっと隠れた名作はあるぞ」と思う人もいるだろう。
ここでは挙げられなかった名作もまだまだあるのだが、ジャンプ黄金期に奮闘していたライバル誌の漫画たちは、決してジャンプ陣営に劣ってはいなかったと言えるだろう。