■まっすぐな正義を心に宿した誇り高き“変態”! 『究極!!変態仮面』色丞狂介
1992年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、あんど慶周氏の『究極!!変態仮面』は、少年漫画の限界に挑戦したかのような際どく鋭い表現の数々が特徴のギャグ漫画だ。
本作の主人公といえば、タイトルにもなっている“変態仮面”に変身し戦う高校生・色丞狂介である。戦う際の姿はとにかく強烈で、頭部にかぶったパンティで顔を隠し、肩まで伸ばして装着したブーメランパンツと網タイツという、どこからどう見ても“変態”といった出で立ちなのだ。
覚醒したときの凄まじい身体能力もさることながら、相手に自身の股間を押し付ける、縄で巧みに縛る、鞭を使いこなす……などなど、使いこなす技の数々も“変態”の一言に尽きる。
敵はもちろん、味方、そして読者たちにも強烈なインパクトを残す“変態仮面”だが、一方でその正体である色丞はいたって平々凡々とした常識人。少し長めの黒髪ときりりとした眉毛が特徴的な男子高校生で、正義感に溢れる好青年なのである。
拳法部に所属していることから身体能力も高く、無意識のうちに周囲の女性たちに好意を持たれることも珍しくない。悪を許さぬ熱き心を持つ少年が正義の力に覚醒する……という部分だけを見れば、至極まっとうなヒーローに思えるのだが、変身後の姿が姿だけにどうしても強烈なギャップを抱いてしまう。
刑事である父から悪を許さないまっすぐな心を、そしてSM嬢の母から“変態”としての技法を受け継いだ、あまりにも型破りな“覆面”キャラクターだ。
素性を隠しながら立ち振る舞う“仮面キャラクター”たちだが、やはり読者や視聴者は彼らの素顔をあれやこれやと想像してしまうものだ。ときに可愛く、ときに老獪に……その真の姿に一喜一憂するのも、“仮面キャラクター”独特の楽しみ方なのかもしれない。